【第3回講座】地域自立のための人づくり
- 講師
- 古川 禎久 氏(衆議院議員)
- インタビュアー
- 坂口果津奈(フリーアナウンサー)
- 放送予定日時
- 平成23年12月17日(土) 12:30~13:30 ※以降随時放送
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古川 禎久
衆議院議員
1965年 宮崎県生まれ 東京大学法学部卒業
建設省(現・国土交通省)入省
2003年 衆議院議員初当選 現在3期目
法務大臣政務官、環境大臣政務官、自由民主党青年局長を経て 衆議院災害対策特別委員会筆頭理事、環境委員会委員を歴任
講義内容
坂口:
古川さん、今日はお忙しい中どうもありがとうございます。よろしくお願いします。
古川:
よろしくお願い致します。
坂口:
古川さんは今現在小泉(進次郎)さんがされている自民党の青年局長をその前にされていたということなのですけれども、全国の若い方たちと交流を重ねてきたということなのですが、その中から活動を通して何か感じられたことはどのようなことがありましたでしょうか。
古川:
自由民主党の青年局のメンバーというのは全国に18万人いましてこの1年間何をやっていたかといいますと全国を回りまして北海道なら北海道、沖縄なら沖縄、それぞれの土地の若い人たちと意見交換をしたりいろいろな勉強会をやったりという活動だったのですね。どこに行ってもやはりそれぞれのふるさとにしっかり根を張って地域のために頑張ろうという仲間がたくさんいまして、そういう仲間に出会うことが本当に楽しみでした。たくさんお酒も飲みましたしもうしんどい思いもしましたけどいい出会いがいっぱいあったと思います。
よく今の時代を幕末だとか維新の時代に例えますよね。坂本龍馬なんていうのは土佐を脱藩して神戸に行き、京都に行き、江戸に行き、長崎に行き、薩摩に行き全国をグルグル回るわけだけど、回って結局友達をつくったわけですよね。仲間をつくったわけでしょう。そして日本を良くしようよという仲間をこしらえていったわけです。自民党青年局というのはもう既に18万の仲間が全国各地にいて、そしてその仲間同士もう一度信頼関係を密にしながら日本の国をどうやっていこう、ふるさとをどうやっていこうよというそういう熱い1年間でしたので非常に僕は幸せでした、楽しかったです。まるで坂本龍馬みたいだななんて自分で思いながら非常にいい経験をさせてもらったと思っています。
僕の次は10月に小泉進次郎代議士にバトンタッチしたのですね。彼はとてもいいですね。筋は通すし度胸はあるし、そして面構えもいいし。しかし彼が青年局長として全国を回って、そしてそのふるさとそれぞれの土のにおいというのでしょうか、田んぼの土のにおい、漁村の潮の香り、そういうものを彼が全国を歩いて吸収していけばもっともっと彼は素晴らしい政治家に育っていくでしょう。だから青年局長というのは本当に素晴らしいチャンスを僕も頂いたと思っています。
坂口:
その現場現場へ足を運ぶということで言いますと3月に東日本で起こりました大震災、日本も大きなダメージを受けていますが、そこにも古川さんは何度も足を運ばれたということなのですが、その中ではどのようなことを感じられたのですか。
古川:
1つこれはもう強烈なエピソードがありまして、これは山梨県の会社の社長さんが震災直後に物流が途絶えて水も物資も何も足りなくなってしまった時がありましたよね。あの時にもう見ていられないということで山梨の社長さんが自らトラック1台に水と食料を積み込みまして被災地に向かったそうです。ところが道は寸断され橋は流され、もう30時間くらいかけてやっと石巻に到着したそうです。そしたらその避難所に避難しておられる皆さんが社長さん本当にうれしいありがとうと、でも隣町の避難所の人たちはもっと困っているからそっちに先に持っていってよと。そっちに行きましたら今度はありがとう社長さんと、でも山を越えた向こうの集落はもっとひどい状況なのだという具合にして3カ所場所を移したというのですよ。だから水もない、食べるものもない、凍えるような寒さ、そのギリギリの状況の中でも、いや、自分はまだ我慢できるという強さとあの人を先に助けてやってくれという優しさですよね、これはもう日本の最高の宝なのだろうなと涙が止まりませんでしたね。後で聞きますとそういう話はいっぱいあったそうです、たくさんあったそうです。
よく外国のメディアなどが賞賛して言いますね、日本人は素晴らしいと、暴動が起こるわけでもない、炊き出しの時にはちゃんと列をつくって、それも外国人がびっくりして報道していましたね。われわれはそれが当たり前だと思っているから、あれ、外から見るとそんなふうに見えるのかなと思ってちょっと誇らしいような気がしたものでしたけども。やはりここにわれわれ日本人の特質というのでしょうか、日本らしさというものを僕は見たような気がします。つまり欧米人でしたら自由とか個人とかというのを価値観として何よりも大事にするでしょう。ところがわれわれ日本人の場合は和の精神とか秩序とか、要するに自分が1人で生きているのではないと、周りがあって周りとの関係、周りが良くなって自分もいいのだというような、そういうこの濃密な人と人とのつながりを大事にする、そういう麗しい日本の美意識というか価値観というのがやはり僕らの中にあってこういう未曾有の大災害においてもその日本らしさというものが表れたのだろうなと思いましたね。
坂口:
それは古川さんが大事にされている言葉の1つで和をもって尊しという言葉があると思うのですが、まさにその言葉を感じられたことだったのですか。
古川:
そうですね、もう欧米人と日本人の決定的な違いですよ。和をもって尊しとなせというのはけんかせずに仲良くやりましょうという単純なそういうことよりも、やはり物事との調和を大事にするわけですよね。例えば人と人の関係もそうでしょうし、あるいは自然と人間の調和というものもそうではないですか。例えば神社の神道がありますね。外国の宗教は往々にして一神教ですよね、絶対の神様がいてその神様との関係で人間はこうでなければならないという教義になってくるわけですが、ただ神道の場合は神様がいっぱいいるしそういう一神教とは違うのですね。つまり大自然、宇宙というのでしょうか、あまり大きくなり過ぎますか、要するに大自然と人間がいかに折り合っていかに協調、調和を図りながら共存していくかというような大自然との付き合い方、大自然と付き合う作法というのですか、そういうものだろうと僕は思うのですよ。ですからその神道を宗教という形で規定するよりもやはり日本人の心、和をもって尊しとなせ、すべての調和の中に自分があると、自分も全体の中の一部だというような、そういう自然観、宇宙観という、和をもって尊しとなせという言葉は日本人のそういうものを語っているような気がするのです。だんだんそういうのも廃れてきたなどと言われていますが東日本大震災ではボランティアの皆さんの応援にしてもやはり、いやいやまだまだ日本は大したものだぞというところを見ることができたと思います。
坂口:
今回の番組のテーマとして地域主権に必要な人材ということが大きなテーマであるのですが、地域に必要な人材、人づくりというのを古川さんはどんなふうに考えていらっしゃいますか。
古川:
今日は僕の考えを3つ述べたいと思うのですが、僕はこうして政治をさせていただいていますからその政治という切り口から例えば政策の方向性とかいう切り口から地域における人づくりということについて僕の考えを申し上げたいと思うのです。まず1番目にやはり家族、そして地域共同体の再生、強化、これが一番大事ではないかなと思うのです。日本が戦争に負けた時にGHQがやはり心を砕いたのは日本の一番の強さというか良さというのでしょうか、自分のことよりも公を大事にするというような日本の心があるわけでしょう。これではいけないということでそれをばらばらの個にする、こういう占領政策を取ったわけです。その後GHQ、連合軍は出ていったけれどもやはりそういう戦後の風潮というのがずっと今日に続いています。
例えば去年菅内閣においては第3次男女共同参画基本計画というものが策定されたわけですが、ここでもやはり社会の制度だとか社会の慣行を家族ということではなくて個人という単位に切り替えるべきだと、これが喫緊の課題だということをうたっているわけなのです。ですからこの家族とか地域共同体、おかげさま、お互いさま、みんなで一緒に頑張ろう、良くなっていこう、そういう日本人のこの心の落ち着きどころみたいなものがやはりバラバラバラバラ、そういう流れにありますよね。でも僕はこれでは日本の国はうまくいかないと思うのです。
やはりさまざまな問題が起こっていますね。例えばこの13年、自殺者が3万人を突破してもう減らない、あるいは毎年毎年4万4,000人の児童が虐待を受けているとか、あるいは身寄りがなくてもう1人でアパートでひっそりと亡くなって気が付かなかったという無縁死という方が毎年3万2,000人いるとか。あるいは結婚にしても例えば3組に1組は離婚するとか。ですから要するに貧しいけど家族で肩を寄せ合ってみんなで明るく助け合って生きていこうよという時代はもう過去のものになってしまって、今はずいぶんものも豊かになってきたのだけれどもその人と人のつながりがバラバラになってきてしまってという、そこの社会の懐の深さみたいなものがだんだん壊れてきた、それがいろいろな自殺者だとか親と子の関係が壊れつつありますよね。あるいはモンスターペアレンツ、モンスターペイシェントといろいろありますが、何かそういうちぐはぐな世の中になってきたような気がするのですね。ですからもう1回原点といいますか、もう一度大事なところに戻ってみるべきではないかと、それが僕は家族だとか地域共同体だと思うのですね。
地域共同体というと漢字を並べて言ってしまいましたが、例えば村の消防団とか、あるいは東京では町内会というのですか、僕の地元では公民館とか自治会とかと言いますがご近所ですね。それとか神社の氏子総代会とか、あるいは○○商店街の商店主の会とか、要するに僕たちの村を、われわれのまちを自分たちで話し合って自分たちでみんなで決めていこうよと、自分たちで運営していこうよと、そういうコミュニティーというのでしょうか、そういうものがいっぱいあったと思うのですね。それがこの時代の流れの中でだんだんブツブツと切れてくるところに地域が持っている力というのも失われていくと。
ですから地域の人づくりということを考えるときにやはりこの1つの単位である家族という単位、もうちょっと横に広げて地域共同体、そういう町内会だとか消防団だとか、そういう単位をもう1回強いものにしていく、そのために政策を総動員する、それはもう政治の役割でしょう。僕はそういうことが大事だと思っているのです。
坂口:
地域をどうやって自立させるかということになるわけですね。
古川:
地域を自立させるためにはやはりそのプレーヤーがいるわけです。今の政策はそれをバラバラバラバラ壊していく方向に向いているわけですね。でももう1回そのプレーヤーをしっかり育てていこうと。だから例えば家族がバラバラになる時代だったら家族をまた一緒に、例えば3世代なら3世代で住めるような3世代住宅が建てやすくて、そして3世代で家族が住みやすいような方向にいろいろな政策、税制をはじめとして、あるいは社会保障制度も再設計が必要だと思いますが、あるいは雇用政策だとか少子化対策から何からいろいろな政策がいっぱいありますけども、バラバラバラバラやるのではなくて家族それから地域共同体をもう1回強くするのだという1つの目標のもとにいろいろな政策を集めればかなり大きなことができると思うのです。
ただそのためには先ほど申し上げたように今の政府、戦後来ずっとそうなのですが特に今の政府のやっていることは要するに世帯、つまり家族を壊して個人というものを単位にするべきだと、それを急ぐべきだと、つまり家族は壊した方がいいということを政府がはたを振ってやっているわけなのですよね。僕はそれは違うと思うのです。
坂口:
東日本大震災の直後は結婚する人たちが増えたという話があちこちで聞かれたのですが、本当にそうだったのでしょうか。
古川:
そうなのでしょうね。やはり僕も統計的にきちっと把握したわけではないですがそういう話はよく聞きます。なぜかというときにやはり本能的に不安を感じたというようなことのようなのですよね。やはりいつ起きるか分からない、こういう地震だとか何があるか分からない、先々自分は1人で心配だ、やはり誰か共に生きる人が欲しいなとか、あるいは震災後多くの人が行方不明になったりしましたね、報道でもいっぱい報道されていましたが、やはり家族を失う悲しみだとか家族に対する思いとかというのが強烈にもう毎日のように報道を通じて伝えられる中で、やはり、ああそうか、人というものは1人で生きていけるものではないなというようなことを本能的に感じる人が多かったのではないのかなと僕は想像しているのですよね。
坂口:
そうですね、誰かとつながっていたいだとか誰かに守られたいとか誰かと一緒にいたいという気持ちがやはりそこでバッと爆発したような感じはありますよね。
古川:
だとすればそれは本能でしょう。
坂口:
ええ、そうですね。
古川:
だから世の中がいくら、いや個人だ個人だというふうに政治がそういう方向をうたってみても人間の本質というか本能みたいなものはやはり求めるものがあって、それは何のことはない古臭いと思われていたけれども実は家族だとか地域の横のつながりだとか、おかげさま、お互いさまの付き合いだとか、実はそういうものに戻っていくという、そういうことかなという気がします。若い人たち、特に若い女性などがおっしゃるように結婚願望だとかすごく声が多いみたいなのです。ちょっと古い3年ぐらい前のアンケートだと思うのですが何かの記事で読んだのですが、既婚女性に対するアンケートなのですね。古い夫婦、家族の観念があるでしょう、夫は外で働いて妻は家を守ってという。
坂口:
昔の夫婦の在り方。
古川:
今まではそれは古臭いと、そういう時代ではないのだということでだんだんそれに対してイエスと答える人は減ってきていたのです。しかしここにきて反転して半分近くはイエスと答えるようになっているそうです。
坂口:
また女性が家を守るようになってきたということですか。
古川:
そう既婚女性が答えているのです。特にそうだという回答は若い世代ほど顕著なのです。
坂口:
それはどういうことからそういうふうになるのでしょうか。
古川:
だからやはり何か回帰しているのでしょうね。あるいは女性も働くけれども、しかし出産、せめて子どもが3歳ぐらいになるまではやはり仕事を辞めてそしてしっかり子育てをしたいということに対して9割近くの人がイエスと、そうだと言っているのですよ。人の本能というのはそうではなくて昔ながらのそういう家族とか人と人のつながりという方向にやはり戻っているという、傾向があるのではないでしょうか。だから地域の自立のため、地域のための人づくりというテーマで言うときに過疎だとか何だとかと言って地域も非常に荒れて荒れて年々ひどくなっていくのだけど、しかしそこにちょっと先行して人の心はもう1回回帰している部分があるのではないかなと思うのです。だからやはり正面から家族あるいは地域の絆、こういうものをもう1回大事にしようよということが僕は政治の一番大事なメッセージではないかなというぐらいに思っているのです。
坂口:
地域の絆ということで言いますと古川さんはよくポスターを撮られていますけれども、まずはふるさとというような大文句というか言葉がありますよね。あれはどういう思いから付けられたのですか。
古川:
これは僕の持論なのですが政治家というのは地域、要するにふるさとですよね、愛着を持っているわがふるさと、ふるさとに根を張っているかどうかがすべてだと思うのですよ。もうそれ以上でもなければそれ以下でもない。もちろん政治家は人によって考えが違いますよ、10人いれば10人考えが違うのですから。しかしたとえ考えは違ってもしっかりふるさとに根を張っている者でなければ本当に魂のこもった、血の通った政治はできないと僕は思っているのですよ。
僕も今3期目なのですが初当選をさせていただくまでに8年間浪人といいますか落選ばかりなものですから、それを田舎でこつこつ頑張ってきたのですが、今振り返ってみてなぜおれは8年間もやってこられたのだろうか、目標に向かって歩いてこられたのかなと思うときにやはりふるさとというのは農村地帯ですから大地が近い、食べるものでもお米でも何でもくれるわけですよね。ダイコンも抜いていけよと言うから、じゃあ玉子もくださいと言って、そうやって本当にこの地域の中で食べさせてもらって、だから続いてきたのだと思うのですね。そういうこのふるさとの大地、あるいはふるさとに住まう人たちに対する愛情とか愛着とか、僕はやはりそれが政治の大源泉、大エンジンになっている、そうでなければ嘘だと思うのですよね。だから地域、ふるさと、まちおこし、いろいろな言葉がありますが一番大事なのはやはりふるさとに対する愛情ですよね。これは後で言う予定だったのですが。
坂口:
古川さん、じゃあ2つ目は何が挙げられますか。
古川:
2つ目は自助、共助、公助の心ですね。自助は自ら助ける、共助はともに助ける、共助は公的な扶助、この自助、共助、公助、これが2つ目の柱です。
坂口:
ふるさとが一番大事だというふうに感じてらっしゃるということなのですが、やはりふるさとを今からつくるといいますか自立させるという意味では、やはり今住んでいる若者たち若い人たちがこれから頑張っていかないといけないというふうにも言われていますけれども、そのあたりは古川さんはどんなふうにお考えですか。
古川:
うん、もちろんそうですね。そのときに私はやはり今の世の中を見ていて非常に気になるのは、何でもそうなのですが何かあったときにじゃあこれは国が何を保証してくれるのとか、じゃあこれは市長だとか県知事が何をしてくれるのとか、すぐそういう方向に行ってしまうのですね。これは僕は危ないことではないかなと思うのです。一番大事なことはやはり自立心というのでしょうか自分で頑張ると、一生懸命頑張ってそして仲間とも助け合いながら頑張ってそれが基本だと思うのですよね。どうしてもそれでカバーできない、例えば世の中には不幸な人もいて、やはりそういう人たちをみんなで助けてあげればいいのであって、しかし本来は、よし、自分の力で頑張ろうと。親の背中という言葉があるではないですか、おやじ、おふくろが貧しいながらも一生懸命働いて僕を学校に出してくれた、その背中を見ているわけですよ。自分も職業は何に就くかは別としてまじめに生きようと、頑張ろうと、やはり僕はこれが一番の柱だろうと、背骨だろうと思うのです。自助、自立ですよね。そしてさっき言いましたように地域との助け合いとかみんなで良くなっていこうという横の助け合いがあって、だから自助そして共助、共に助ける、これが核です。
そしてそこに初めて3階建ての公の助け、公助というのが初めて出てくるのですね。だから自助、共助、公助というこの3階建ての順番を間違えると僕は世の中がうまくいかないと思います。例えばかつてイギリス病というのがありましたね。ゆりかごから墓場まで、もう何でもかんでも政府が面倒を見てくれるものだからまじめに働くやつはばかだということになって働かない、何かもらう、それをあてにしてしまう、自立の心がなくなっていったら人は腐りますよね、世の中も荒れます。そうなった時に将来の輝かしい発展ということもないのであって、だからどうも日本はその親の背中という言葉があるように、よし、頑張るぞというものが大変強い国柄だと思うのですが、どうも最近何かすると人のせいとか自分さえ良ければいいとか、そういう風潮がだんだん増えてきているように僕は思うのです。これは決していいことではないですよ。僕にも3人の子どもがいますが小学校、中学校、男の子ばかりなのですけど。でも彼らが、あの子たちがやはりゆくゆく世の中に出ていくときに本当に経済的には数字はどうかはともかくとしてやはり前を向いて、何かにすがって生きるのではなくてやはり強く自分の足で立って青空を見ながら歩けるようなそういう世の中にしたいしそういう子に育てたいと思いますよね。
坂口:
その子育てをする中で大事にされていることはありますか。いつも古川さんからどのようなことを教えているとか。
古川:
カメラの前で偉そうに言えるほどのことではないのですが、嘘を言うなとか弱い者いじめをするなよとか、そのようなところでしょうかね。ちょっと恥ずかしいです。
坂口:
東京に住んでいるのですか。
古川:
いやいや、わがふるさとに。
坂口:
宮崎で子育てをされていて?
古川:
ええ、もちろんです。僕は子どもたちの顔を見る機会はほとんどないのですが。
坂口:
でもやはりのびのびとふるさと宮崎で子どもたちが過ごしているというのはやはり東京と違うところもありますか。
古川:
それはそうでしょうね。だけど僕らが子どものころに比べたらやはりね、宮崎県の都城、地方都市なのですが、例えば近所の公園で子どもだけ遊ばせると不審者が現れて危ないとか。今は南九州ですらもそういう状況ですよ、どう思いますか。僕らのころは本当に学校が終わってもランドセルを置いてからというのではなくてそのままどこかに遊びに行って暗くなって家に帰ってくるという感じだったのですが、今では同じ田舎でも考えられないですよ。時代が変わったのでしょうね。だからその意味で言うとかわいそうだなと思いますよ。どうも日本の社会というのはのびのびしたおおらかなところがなくなっているのではないでしょうかね。
だから地域の人づくりということを考える意味でもまずその地域に住まう人がやはり親の背中ではないですがまず自立して自助自立で頑張るのだと、そして仲間と一緒に協力して頑張るのだと、これが基本だと、教育を含めてそういうことがピシャッと背骨にないと地域の自立ということはできないでしょう。もっともらしいことを言うと福沢諭吉が一身独立して一国独立と言ったわけでしょう、同じではないでしょうか。一番大事なところが今揺れてしまっているという気がします。
坂口:
では最後の3つ目は何でしょうか。
古川:
3つ目は地域、ふるさとに対する愛着です。そのために必要なものは郷土の歴史だとか伝統に対する理解と尊敬の思いですね。
坂口:
では古川さん自身も子どもたちが住んでいるということでそのふるさとに帰られることも多いと思うのですが、その地元の人たちと触れ合う中で特に若い人、今からの人たちと触れ合う中で何か感じることとかというのはありますか。
古川:
ええ、それはやはり突き詰めて言うと自分のふるさと自分の住んでいる土地に対する愛情なのですよ。僕は週末は必ず地元に帰っています。そしていろいろな行事にも行きます。この秋祭りだとか何か神楽の行事があって年に1回のお祭りがあるとかいろいろあります。そうするとその地域に伝わっている伝統芸能にしても祭りにしてもやはりその土地に住んで土地を愛している人がなんとかつなごう、なんとか盛り上げていこうと思って成り立っているわけですよね。だからその土地、ふるさとに対する思いですよ。ですから公民館の単位がたくさんありますけれども、いろいろなところに行ってもやはり愛情の強いところほど活気があって元気ですよね。
坂口:
古川さんのふるさとは天孫降臨の里といわれている宮崎でありますけれども、何かそこからも感じることがあるのですか。
古川:
そうです、これは宮崎県の高千穂神社というところがありますが後藤宮司という方がいらして、かつてハンガリーに高千穂神楽の公演に行ったことがあるのだそうです。向こうの大使館で公演があったそうです。その時に200人近い各国の外交官だとか財界人だとかがいっぱいお客さんとしてみえていて、そこで神楽だとか日本の神話の説明をされたそうです。始めのうちはお客さんも気軽に足を組んで話を聞いていたのだそうですけど、だんだんその宮司の話が日本の神話というのは要するに天皇のご先祖の話なわけでしょう、そしてその子孫である天皇陛下が男系で125代も続いている、だから神話の世界が今なお現在に伝わっているという話なわけでしょう。それを聞いていた各国の皆さんが急に姿勢を正して真剣な面持ちで聞き始めたと、明らかに日本の歴史だとか伝統というものに対する尊敬の念というものが感じられたそうなのです。その時に後藤宮司は思ったそうです、伝統文化というのはわれわれがよく伝統文化を守りましょうなどと言うのだけれども、実際は伝統によってわれわれが守っていただいているのだなということに気が付きましたと、このようなことをおっしゃっていました。
だから何でもそうですよね、やはり自立の心でということをさっき申しましたが、そのためにやはり自分に対する自信と誇りがないといけないわけです。自信と誇りはどこから出てくるかというと要するに親の背中だとか自分の家族のルーツだったりあるいは自分の国の歴史だったり、あるいは地域に伝わる伝統、文化だったり、そういうものに対する自信と誇りがあるからこそ僕は愛着が生まれて、そしてこの地域が自立してやっていこう、頑張るぞということになると思うのですよ。ですから本当に後藤宮司はいいことをおっしゃいました、実は伝統によって私たちこそが守っていただいているのだなと。地域はそういうものがいっぱいありますから、ですからそういうものを大事にすることによってその地域の自立のための人づくりということになってくるのではないでしょうか。
坂口:
話が少しそれるかもしれませんが私も出身が鹿児島で育ったのですけれども、やはり特に男の人というのは鹿児島を出たいという気持ちの方がすごく強くて東京にあこがれたりとかするのですけれども、やはりふるさとを大事にするという気持ちもすごく大事だと思うのですが、そういう出ていく若者に対してはどんなふうに思われますか。
古川:
それは大いにけっこうじゃないですか。やはり進取の精神というか、やはりふるさとを出て広い世界を見てみよう、チャレンジしてみようと、これがないといけませんよね。しかし若い時にふるさとを出たその青年がいろいろなことを経験する中でやはり年をとるごとにそのふるさとのありがたみだとか、そこに自分の心の安寧があるなとか、やはり1年1年気付いていくのだと思うのですよ。古川少年も今中年なのですが、要するにやはり東京にあこがれるわけですよね。だけど30歳前後のころ、やはり田舎のことが気になるのですね。気持ちが向こうに帰っていってしまっているという感じなのですよ。
坂口:
分かります。
古川:
だからやはり若い時は、よっしゃ、世界を相手に見てやるぞというぐらいでいいのではないですか。
坂口:
そうですか。残る人たちも大事だというかふるさとで頑張る若者もやはり必要ですよね。
古川:
もちろんそうです。だから人それぞれ経験の中でそういう、あるいはふるさとに対する思いというのが人それぞれあるのでしょうけどね。でもやはり地域を良くしていこう、おれたちのふるさとを守っていくのだぞということの原点にあるのは愛着、愛情でしょう。
坂口:
ふるさとに対する愛着ということですね。
古川:
だと思います。
坂口:
地域の自立として今古川さんには3つ挙げていただいたのですが、古川さんは政治家ということですのでこれから政治としてのかかわり方といいますかどんなふうにしていきたいというふうに考えてらっしゃいますか。
古川:
ずばりと一番大事なご質問を頂いてありがとうございます。本当に人づくりを政治が語る前に政治家自身がやはり自分を鍛練して腹を練らなければいけないのですよね。16年前に阪神淡路大震災があったのですが、あの時に担当大臣をした小里元代議士、鹿児島ですよね。あの小里先生にこの前お話を聞いたのですがいいお話をされていました。つまりそういう大地震という非常事態が起きているわけで、現行法、既存の法律では対応できないことがいっぱいあるそうです。その時に大臣が責任はわしが取るからどんどんやれということを言ったわけです。そしたら官僚の諸君も喜んで仕事がはかどったというのですよ。それはそうですよね、官僚の諸君も仕事がしたいわけですよ。しかし仕事もしろよ、責任もおまえが取れよというのはおかしな話で、責任を取るのはリーダー、政治家の役割なのですから、そのために大臣がいるわけですからね。ですから小里先生が当時を振り返ってわしが責任を取るというこのエピソードを聞かせていただいた時に僕はこれだなと思いました。
だから政治がこの日本をどうしたらいいか、あるいは地域をどうしたらいいかそれぞれみんな考えがあると思うのですよね、思いは持っていると思います。でもそれを政治家として形にしていかなければいけない、そのときに最も大事なことは決断をするということ、そしてその結果に対して責任を取るということですよね。平たく言えば泥はおれがかぶるぞと、おれが悪者になってもいいから、よし、これでやろうじゃないかと、そこの気迫1つだと思うのですね。
鹿児島でしょう、薩長同盟というのがありましたよね。薩摩と長州が組んでそして明治維新がなったわけですけれども、あれだって薩摩に西郷さんがいて長州に桂さんがいたからこそできたわけですよね。反対の者がいっぱいおるがわしが責任をもって説得すると、おれが体を張ってでも納得させると言って合意できたわけではないですか。あるいは無血開城の時だって西郷さんと徳川から派遣された山岡鉄舟が駿府で会って、よし分かったと言って江戸攻めがなくなったわけですからね。やはりその責任ある立場にある政治家がよしと決断をして責任はおれが取ると、泥はおれがかぶると、そこなのだということを僕は今つくづく思うのですよ。
大連立を組めばいいのではないかという話がこの1年ぐらい前からありました。地震があってその後にもその話があったけど今はなくなってしまいましたが。やはり薩摩と長州が組んだように僕はもう日本のために日本の政治家は頑張らなければいけないのだから力を合わせるべきところは力を合わせてやればいいとずっと思っているのです。だってライバルは外国でしょう、逆に外国から見れば日本が国内でけんかばかりしていればしめしめと、よし、今がチャンスだぞというぐらいに思っているわけですよ。そうさせないためにはやはりドンと結束するところは結束しなければいけないですね。そのためにはその薩摩と長州の例ではないけどリーダーが、よしおれが責任を取ると、おれが泥をかぶるというところが必要でしょう。今政治に欠けているのはそこなのですよね。
だけどちなみにこれは申し上げておきます、そういう、よしおれが泥をかぶるぞという気概を持った政治家、国会議員がいないわけではありませんからね。いますよ、これはもう僕が証人として言いますが、やはり自分が表に出ないけれども、よしおれが責任を取ってここはこうしたいというそういう気持ちを持った人はたくさんはいけないと思いますがいることはいるのですよ。だから政治も非常に国民の信頼を失っているけど僕はそういう人がいないわけではないということはちゃんとここで視聴いただく皆さんにはお伝えしたいなと思っているのです。
坂口:
政治家の皆さんにはそういうリーダー的な役割のことをもうお任せするといたしまして、私たち国民はじゃあどういうふうな立場で政治家の皆さんを見ればよろしいでしょうか。
古川:
1つはこの人間が要するにきれいごとばかり言って口先だけではないのかと。そうではなくて今申し上げたように本当に責任を取る覚悟を持っている人物なのかと、そこを見極めるのは有権者ですよね。今テレビ政治の時代になってしまってテレビでいろいろなパフォーマンスに流れがちなのだけれど、しかしその国民のウケを狙って人気取りに走っていった結果が今回のマニフェストみたいにグチャグチャになってしまうわけですよ。そうでしょう。
坂口:
はい。
古川:
だから政治家自身もそうだし選ぶ側もそこはこういう人気取り政治の弊害みたいなことにならないようにやはりしっかり見極めて政治家を育てていく、送り出していくということではないかと思いますね。それともう1つ、ブルックリンブリッジでも今世界中であるでしょう。要するに1%の人間が富を独占して99%はしいたげられてどうなっているのだと。要するに今世界をおおっている新自由主義というイデオロギーがあるわけでしょう。要するに資本がお金儲けのためにはもう好き放題投機マネーが暴れて石油がガーンと値上がりしたり穀物が値上がりをして、そこでひどい目にあうのは常に弱い立場の人たちですよね。
サブプライムローン問題があったころ世界的に穀物が値上がりしましたね。僕は今でも忘れませんよ。メキシコの人たちは主食にトウモロコシを食べるのですよね、ところが穀物が値上がりしているわけだから食べられないと暴動が起きるわけです。フィリピンはお米を食べるのです、ところがやはり値上がりしてしまってお米が買えないといって騒動が起きました。エジプトは小麦を食べるのですね、ところがやはり値上がりして暴動が起きましたね。ですから資本主義、マネーというものが要するにテレビゲームみたいにしてマネーゲームでお金を儲ける一方でまじめに生活してまじめに仕事をしても飯が食えなくなるという立場の人たちがいっぱいいるという、この状況は僕は社会的な不正義だと思うし、人類はこの壁を乗り越えなければいけない時に来ていると思うのですよ。
だからあのブルックリンブリッジでも世界中でグルッと1週か2週したのでしょうけどこれは日本においてもまったく人ごとではないのですよね。例えばTPPだとかいろいろなことを議論されていますが、結局は何かというと企業があるいは大きな資本が自由にもっともっと金儲けができるようにすればいいではないかという理屈なのですよね。本当にそれで幸せになれるのだろうかと、日本人の幸せというのはどこにあるのかと、僕はやはりおかげさま、お互いさまという言葉があるように、あるいはおれ1人さえ良ければいいのだというのではなくてみんなで良くなっていこうという日本人の心があるように、やはり総合的な安心感、安定度、こういうものが私たち日本人の幸福感だしそれが日本らしさだと思うのですよ。ですからTPPの議論1つ取ってもそうだけど本当に日本人の幸せのためにはどっちの方向を見ていったらいいのかということをもう一度みんなで考えなければ駄目ですよ。何か目の前の大企業の利益ばかりでワーワー言っているわけでしょう。これはとてつもない禍根を残すと僕は心配でしょうがないのですね。
韓国が今もめているのはアメリカと韓国の間でFTAを結んで、要するに韓国は自由貿易をするそっちを選んで農業を捨てたわけです。韓国の食料は8割は輸入なのですよ。そうするとウォンが安いでしょう、ウォンが安いということは輸入しなければいけない食料も割高になってしまうわけです。そうすると庶民は値上がりをして食べられなくなってくるわけです。今大問題になっていますよ。日本は今でも既に6割輸入しているのですよ。しかしTPPに参加したらこれが8割輸入になるのですよ。今は円高だからいいのではないかという考えがあるのかもしれないけど、どう考えても本当に日本人の幸せということを思うならば目の前の大企業の利益がどうしたこうしたという安直な判断をしてしまったら取り返しがつかないのではないかと思うのですよね。ですからブルックリンブリッジのあのデモ、1%のために99%がひどい目にあっているのだという怒りでしょう。僕はあれは決して対岸の火事ではなくて日本も今それを突き付けられているのだと思います。どうしたらいいか、そこは日本らしさ、日本人の幸せ、おれたち日本人はどういうときに幸せを感じるのかな、どういう社会だったらいいかな、そこに僕たち自身、日本国民がもう1回光をあてなければ、それを思わなければ駄目だと思いますね。
ある畜産農家のおじいさんが、わしは幸せだと言うのですよ。わしは本当にこの畜産をやっていて良かったと。なぜと聞きますと夕ご飯は4世代13人でご飯を食べるのですと。お誕生席におじいさんが座ってひ孫まで息子夫婦、娘夫婦、みんなで畜産をやっているでしょう。毎晩夕ご飯は13人で食卓を囲むわけですよね。自分が畜産をやってなかったらこうやって孫やひ孫の顔を毎日見ながら飯を食うことなんてできなかったはずだと、でも自分は幸せだと言うわけですよ。だから日本人は本当に幸せとは何なのかということをもう1回考えてみなければいけませんよ。そうすると僕は家族とか地域共同体という最初のあれに戻ってくるのですがそんなふうに思っているのです。
坂口:
でも政治家のお1人である古川さんがやはり地域の大切さといいますかふるさとに愛着を持っているという、そこを聞けただけでも今日はちょっと安心したといいますか、すごくうれしかったですね。
古川:
もう政治家に対する信頼がないですね。
坂口:
ないですか。
古川:
でも本当に国会中継なんか見ていると非難合戦ばかりやっているでしょう。これはもう恥ずかしいな、これは子どもに見せられないなと僕は思いますよ。しかし一方で例えば地震があった、その復旧復興にいろいろな法律をつくったりする、それはかなりの部分野党が頑張っているのですよね。テレビで見ると与党と野党がけんかばかりしているところしか映らないけれども、実際は協力するところは協力しながらやっているというのもまた事実なのですね。それとさっきも言いましたように、よしここは1つおれが泥をかぶろうではないかという気概を持っている政治家も決して皆無ではないですよ。ですからあまり絶望しないでください、本当にしっかりやりますので。
坂口:
では古川さん最後になるのですが、今の日本の若い人たちに対して何かメッセージを頂きたいのですが。
古川:
じゃあ先輩面をして偉そうに2つ申し上げたいと思います。1つは自分の実体験に照らしたときに、僕は30歳の時にふるさとに帰りまして、そして衆議院選挙にチャレンジしたわけですね。でも初めて当選できたのは38歳、丸々8年間僕は浪人といいますかそういう活動をやっていたのです。その中でやはり2回ぐらい絶望したことがあるのですよ。
坂口:
8年間といいますと長いですものね。
古川:
もうこのままどんなに努力したっておれは駄目なのではないかと絶望するのですね。米粒ほどでもいいからトンネルの向こう側に明かりが見えれば、あ、出口はあっちなのだと、3年ぐらいかかるかもしれないけど、5年ぐらいかかるかもしれないけどあっちに向かって歩こうかということができるのですね。しかしその明かりも見えない、360度まっ暗ということになってしまうとやはりどうしていいか分からない、自暴自棄になって腐ってしまうのですね。これはきついです。お金がないことがきついのではなくて、夜寝る時間がなくて苦しいのではなくて、やはり目標を見失った時ほど苦しいことはないなということを僕は強く思ったのですね。ですから青雲の志を持っている多くの若い皆さんがぜひそれぞれの目標をしっかり持って頑張っていってほしいと思います。
坂口:
その何も目標が見えなくなって絶望の淵に立たされた時に古川さんはどうやって這い上がってこられたのですか。
古川:
それはやはり周りの人ですよね。やはり人に支えられているわけです。だからそこで、よしじゃあもう一遍頑張ってみようかなということになるのですね。
坂口:
じゃあ気持ちをちょっと切り替えたということになるのですか。
古川:
やはりへこむことってあるわけですよね。
坂口:
ありますよね。
古川:
でもそこを助けてくれるのはやはり人ですよ。何気ないある人のある言葉がもう決定的に僕の価値観を変えてくれたりとかということはありますよね。多分皆さんそういうことってあるのではないですか。だからやはり人は1人で生きるものではないですよね。それともう一点、この8年間僕は仕事をしてないわけですから本当にお金がないわけですよ。政治活動にはお金がいります、悪いお金ではなくてやはり活動するには経費がいるわけですからね。ところがこれがないわけですよ。これは本当に大変でしたけれども、だけど僕はお金を追いかけないのですよ。お金を追いかけないとやはり世の中の人が見ていられないやということで助けてくれるのですね。いろいろなもの、例えばさっきの話ダイコンを抜いていけと、卵を持っていけというような具合にね。ですから世の中は捨てたものではないですよ。
何か目標があってそれをやり遂げようと思うときに条件が不利だからできないとかハードルが高いから乗り越えられないとかということはないですよ。思いを持ってやれば必ず世の中はその人を放っておかないです。だから中途半端ではなくてやると決めて本当に体当たりでぶつかっていけば必ずそれは世の中が活かしてくれると思いますよ。そうすると今度は逆にこっちはこっちでそれに応えなければいけませんからね。中途半端なことをしたら申し訳ないわけですから。ですからやはりやろうと思ったら徹底してやると、頑張ってくださいということです。
坂口:
今日のお話を伺っていますとやはり古川さんご自身が周りからの愛情によって育てられて今があるというような感じなのですよね。
古川:
そうですね、私自身もそうですし皆さんもそうでしょうし、ふるさとも国も愛情で育ててもらうということなのでしょうね。今日はありがとうございました。
坂口:
今日はどうもありがとうございました。