平成30年度【第1回講座】グローバルを考える~自分の答えを創る力~ (コミュニケーション編)

岩崎育英奨学会 政経マネジメント塾

平成30年度講座内容

【第1回講座】グローバルを考える~自分の答えを創る力~(コミュニケーション編)

場所
(一財)岩崎育英文化財団 岩崎学生寮(東京都世田谷区北烏山7-12-20)
放送予定日時
平成30年11月10日(土) 12:30~13:30 ホームドラマチャンネル
平成30年11月11日(日) 06:00~07:00 歌謡ポップスチャンネル

※以降随時放送
詳しい放送予定はこちら(ホームドラマチャンネル歌謡ポップスチャンネル)

冨岡 武
(とみおか たけし)
ビジネス・ブレークスルー大学専任講師/
”Will&skills”ファシリテーター

ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学 経営学部専任講師(問題解決基礎)/Be-Nature School ファシリテーション講座 講師。
筑波大学 第一学群社会学類(政治学)卒業、BBT大学大学院 経営管理修士(MBA)。ブリヂストン、アンダーセン、デロイトトーマツコンサルティングを経てフリーランス。 共著に「組織バリューマネジメント入門(生産性出版)、「ファシリテーション 〜 実践から学ぶスキルとこころ(岩波書店)など。趣味は写真、トライアスロン、海外自転車旅。

講義内容

冨岡:
今日はいろんな思いでここに参加されてる方がいると思うんですけども、ひと言だけ。楽しんでいただければと思います。試験や学校の授業とは違うので「間違ったらどうしよう」とかは心配しないでください。テーマは「グローバル」「コミュニケーション」そして「問題解決力」とあります。
なんとなく“難しい”とか“苦手”とかという意識がある方もいると思うのですが、今日の講座でその辺の感覚が変わって、“楽しいな”とか思ってもらえるとうれしいです。私の自己紹介をもう少しちゃんとします。“ファシリテーター”という仕事をしています。みなさん、聞いたことありますか?小さく頷いたりしてくれるとありがたいです。

今、大学の授業でも“アクティブラーニング”とか“双方向参加型”といって、先生の役割にもファシリテーター的なものが求められてる時代です。(ファシリテーターとは)どんな役割か、一言でいうと“お手伝いをする”役割です。

コンセプトは「KY“答えを読む”からKT“答えを創る”へ」。自分で創った造語なんですけども。自分自身を振り返ってみても、テストの答えだとか、学校の先生の答えとか、それから就職して働いていたときの上司の答えとか、どうすれば評価してもらえるんだろうとか。ずっとKY“答えを読む”様な思考回路が強かったんです。でも、そうすると、仕事を通じてなんか面白くないなと思ったり、あるいは壁にぶち当たるんですね。
そういうときには自分で答えを創っていかないといけない。(今ファシリテーターとしての)仕事を通じて、(相手が)それぞれの答えを創るお手伝いしています。

どうでしょう?みなさん効率的に“答えを読みたい”と焦ったりしますか?社会人だと、うんうんと頷いたりするんですね。みなさんはまだ焦る必要ないのかもしれないですけど、もしかしたら焦ってる人もいるかもしれないですね。
なんだかんだやっぱりスピードが速い時代だなと思います。焦る気持ちはあると思うのですけど、そんな中でも正解が無い事については自分の答えを創らないといけないので、非効率であっても“考え抜く”“話し合って創っていく”大切さを信じて、企業のお手伝いをしています。

今日はリラックスして、好奇心を持って何かいつもの講義と違うなとか、この場に来てしまったので、“何でも食ってみるか”、“流れに乗ってみよう”とか、そういうのは大歓迎です。今は僕が喋ってますけど、この後はワイワイ、ガヤガヤ、笑顔、応援、そういうの大歓迎なので、ぜひマイペースでリラックスして過ごしてください。

最初に一つだけ。今日は正解がないです。今からやることには、一切正解はないので、「間違ったらどうしよう」とか「答えを探さなきゃ」という気持ちはちょっとだけ置いておいてもらっていいですか。

今回のテーマは、ワークショップという参加体験型で進めていきたいと考えています。先生と呼ばれる私が一方的に講義するのではなくて、参加している方たちに自分たち自身で考えて、楽しんでいただきたいなと思っています。

今回、参加していただく方は、ツアーに参加いただくお客様みたいなものですので、どんな人がいるのかお互いに知り合ったり、リラックスしたりてもらうためにオリエンテーションを行います。
テーブルの上に名札があると思うのですけど、今からみんなで自分の名札を作ってほしいです。もし海外の大学でこのようなワークショップに参加して自己紹介するとして、「冨岡 武です」と言っても誰も名前覚えてくれないんですよ。だから最初に「僕はトミーです」って昔から言う様にしています。ひと言、覚えやすいニックネームを付けて、そこからスタートするんです。
そのような感じで“自分の答えを創る”第一歩。今日はこんな風に呼んでほしいなと名札を作ってください。ルールは一つだけ。“隣の人を見ない”。自分はこう呼んでもらえたらうれしいなと思う名前でOKです。

初めての旅行のツアーに行ったときに、知らない人が集まってくるのを想像していただきたいんですけども、なんとなく話しにくいとか、どんな人がいるんだろうなとか、ちょっとした緊張感ってありますよね。ですので、一緒に何かたくさん話をするためのちょっとしたおせっかいなんですけども、自分のニックネームですとか、もちろん本名でも構わないんですが、名札を作ることによって、最初に知り合う関係性を良くしていこう、そういった狙いがあります。
せっかくなので、首から掛けてもらっていいですか。名札が見えたら、僕もそういうふうに呼ばせてもらいます。
じゃあ、今日のテーマに引き付けてちょっとしたゲームをしたいと思います。みなさん立っていただいていいですか。座っていると体も頭も硬直します。気持ちも固まってきちゃうので。

“グローバル”。僕は初め“怖い”イメージというか、“ちょっと自分には無理だな”とか、そんな感じもあったんですけど、みんなはどうですか?怖い?
この選択肢の中からこれは“グローバルな人”のイメージだな、選ぶなら一番近いなってものを選んで移動してください。
まず1つ目。“グローバルな人”のイメージ=“ビジネスパーソン”。やっぱり海外で活躍するような会社に入って、世界を股に掛けてビジネスをしている人のイメージ。これがA。
(2つ目の)Bは“アーティスト”とか“スポーツ選手”。海外でコンサートしたり、海外で活躍しているスポーツ選手いますよね。かっこいいな、グローバルだな。
(3つ目は)C。いやいや、そんな大きなものじゃないでしょうと。“アルバイトしている外国人”。これは、今、日本でもご飯食べに行ったり、コンビニに行ったりしても片言の日本語で仕事をしている外国の方いっぱいいますよね。この人たちグローバルじゃないの?みたいな。そういう感じです。
じゃあA、B、C、ぱっと分かれてみましょう。どうぞ。

正解が無いから、自分が思うところで分かれてください。それぞれ何でこれを選んだのか、グループの中で自分の理由をひと言ずつポンポンと回してみてください。はい、どうぞ。

最後にせっかくなので、(人が最も少ない)Cを選んだ理由を、ちょっとみんなに言ってみて。

しゅうちゃん:
僕がCを選んだ理由は、全然自分とは関係ない国とかで、1人で行って、バイトをするってなったら、自分自身、自分のことを「グローバルだ」と思うし。周りの友人も「あいつはなんで1人で海外に行って、バイトして学生したりしてるのかな」って思うだろうし。自分に置き換えたら、それはもう絶対グローバルなことしてるなと思ったので、これを選びました。

冨岡:
ありがとうございます。そうだよね。素晴らしい。これは正解ないんですよ。今回グローバルというテーマを頭に付けましたが、“なんか頭でっかちになりたくないな”、“実感できるものはなにかな?”、“どんな人かな?”と考えたときに、自分自身は会社で製造業にいたり、コンサルティング会社にいたりして、そういうことは意識してきたので最初にグローバル = “ビジネスパーソン”となるんだけど、それだけじゃないよなって思いついたの。
やっぱり海外で活躍する日本人のスポーツ選手とかすごく気になるじゃないですか。そうだ!同じように海外で活躍するアーティストもいるよなって。
で、最後は、まさにそう、しゅうちゃんが言ったように、最近バイトしてる(外国の)人は実はすごいなって思った。自分がたった1人で海外に行ってバイトするって、ちょっとできないじゃないかなと思うんですよ。このあいだも中華屋に入ったんですけども、「お客さん、お会計!」とかいってすごい明るいんですよ。こっちも明るい気持ちにさせられちゃったんです。名札とか付けてるお店も多いですよね。その人はベトナムと書いてありました。僕は、すごいな、かっこいいなと思ってしまいまして。それもやっぱりグローバルなんだって思ったりもしました。
ちょっとこれ(3つから選ぶゲーム)で、最初に「グローバルって何だろう?」と考えるきっかけにしてみました。

次にもう一つ。「将来、グローバルに働いてみたいですか?」どうでしょう?今の気分でいいですよ。働いてみたいかと聞かれたら、何%ぐらい働いてみたいですか?絶対行きたいという人は100%。絶対にグローバルな働き方はしたくない、僕はローカルですって場合は0%。理由をひと言、何か書いてみてください。
じゃあ、さっきのテーブルに戻って。この“グローバル”も自分の中のイメージでいいです。今は、いろんな“グローバル”があるなってところからスタートしたので。

(書き終わったら)立って、見せ合いっこしながら、100%の人が前に来ようか。0%の人が後。(100%と0%の)間の人は、見せ合ってお互いに(数字の順に並ぶように)調整してください。
何%?ぱっと理由。

さら:
120%です。私はめっちゃ海外が好きで、絶対、海外に住みたいなって感じです。

B:
50%です。グローバルに興味はあるんですけど、別に無理してグローバルで働こうとは、思ってないからです。

C:
5%です。興味がないわけではないんですけど。日本が好きという思いが強いので・・・。

冨岡:
先頭のさらから順番に1、2、3、4。4まで行ったらまた1、2、3、4。1から4を順番に掛け声掛けてください。同じ番号の人がいるはずだよね。それが今日のクラスメート、チームメートになります。

こういうご縁ね。たまたま1、2、3、4と番号を振ってみたらこうなっただけです。グローバルというテーマに対して関心がある方もいれば、無関心、働いてみたくないという方もいて、いろんな考えが混ざっている状態です。

これからやることを“チェックイン”といいます。(一緒になったクラスメートと)一人ひと言ずつ挨拶をしてください。せっかくニックネームあるんだったら、こうやって呼んでくださいって。最初の人が話したら時計回りに。ちょっとなごやかにガヤガヤとやってみてください。
はい。じゃあ“チェックイン”どうぞ。(①名前・ニックネーム、②マイブーム、③今の気分)

ちょっとした接点を見つけられると、話しやすくなるかなという工夫ですね。大人でも会議とかミーティングとかで久々に会う人とかがいると、一人ひと言「どんな感じ?」って、今の気分を聞いたりします。大人になると、ますます働きながら、いろんな事情があったりするので。「なんか今日はやる気なさそうだな」とか思ったのが、「ちょっと今犬が病気で・・・」とか聞くと、「そっかぁ」みたいに優しい気持ちになったりするんです。(本題の前に)こんなひと言を(お互いに順番で)言いながら、一緒にやるような時間を過ごしたりもします。

最初は「グローバルとは?」というところから入りたいと思います。今、最初にグローバルの視点を少し広げてみたり、いろんな人の意見を聞いみたりして、なるほどって思ったことがあるかもしれません。その辺も取り入れてもらって構わないので、今の段階で「グローバルって何?」と聞かれたら、「グローバルってこういうことだと思います」と自分の言葉で書いてみてください。うまく書けなければ、なんかこんな感じって、キーワードでも構いません。今の自分で出てくる言葉を素直に書いてみましょう。
じゃあ、これは私からという人からさっと手を挙げて、共有してみてください。

そしたら、グループの中で、これはステキだなとか、どうなの?ってこと、なんか面白いなってこととかでもいいんだけど、みんなにシェアしたいな。自薦、他薦は問わないから。

たる。僕にじゃなくて、みんなに「私はグローバルこんなふうに思うよ」って紹介してみてください。

たる:
私はグローバルとは「国外の人と関わるということ」と思います。結構、広い意味で捉えていて、僕はオンラインゲームでボイスチャットをよく海外の人とするんですけど。僕は全然英語しゃべれないんですけど、アニメのキャラクターとか「NARUTO」って言ったら、海外の人も「Oh, “NARUTO”, “NARUTO”. I know! I know!」みたいになってくるし。そこから話が弾んで、僕が「Do you have a girlfriend?」って聞かれたことあって、それに対して「ノー、アニメキャラオンリー」って言ったら・・・。相手の方は日本語あんまり分かんないと思うんですけど。ただ日本語で「おー、すげえ!」って言ってくれて・・・。
そういう関わりって、やっぱ外国の人と関わってグローバルな経験だなって思ったんで、僕は外国の人と関わるって、海外に行かなくても関わってればそれはグローバルだって思うようにしてます。

冨岡:
ありがとうございます。ステキです。じゃあ、次はかいこーお願いします。

かいこー:
はい。私が考えるグローバルとは「何かにとらわれるような枠を持たないということ」です。理由としては、自分とか、自分だけじゃなくてもいいですけど、ある一定集団で、何か枠を、自分たちを囲うものを作ってしまうと、その中とその外という2極的な見方しかできなくなるけど、そういう枠がなければ、2極性を排して初めて全体を一つとして、物事を見ることができるんじゃないかなと考えているためです。

冨岡:
何か実感のある経験とか出来事があったんですか?

かいこー:
特にないです・・・。

冨岡:
特にない。(笑)
かっこいいね。じゃあ、次はまつきよ。

まつきよ:
僕はグローバルとは「画一化するということ」だと思います。理由は社会の間で違いが減っていくから、どっちかというとグローバル化っていったほうがいいかもしれないんですけど、このイメージがぱって出てきました。

冨岡:
何かその足音というか、普段から実感みたいなものって感じることありますか。

まつきよ:
実感というか。単純に世界を見て。どんどん一緒になっていくというか。そんな感じが…。僕が洋服着てるのとかも、一種の画一化かなとかそういうところで感じられるかなと思います。

冨岡:
確かにね。ありがとうございます。まつきよ。画一化。確かにね。
じゃあ、さら。

さら:
私はグローバルとは「人種を超越すること」だと思います。やっぱり日本人同士で関わっててもグローバルとは言わないなって思います。

冨岡:
何かそう思う出来事とかあれば。

さら:
鹿児島から東京に上京してきた時に、私はグローバルだなとはやっぱ思わなかったので…。やっぱり、国外に出ないといけないなとは思います。

冨岡:
国外にね。ありがとうございます。
鹿児島から出てきた時には、そんなに思わなかった・・・。もう画一化してるのかもしれないね。もしかしたら、時代が時代だったら、“出てきた!”って感じがあるのかもしれないんですけどね。

そういう今の自分の実感と合わせて、目の端っこで(常に世の中を見る)そんなところがあると、また定義が変わってくるかもしれないですよね。
今日はたまたまこんな(グローバルという)テーマだからだけど、普段からこんなことを考えてる人は少ないと思うんですけども、曖昧なものというのは自分の中でより明確なものに変えていければ、そこに向き合えると思うんです。
これからみなさんこういう言葉に接することは増えてくると思うんですけども、そのときに、“なんとなく相手が使ってる”とか漠然としたイメージで、場合によってはネガティブに捉えるのはちょっともったいないなと。自分なりに「自分はこう思う」というものがあれば、自分なりにすっと向き合えるようになってくると思います。
今だって、グループでクラスメートの話を聞いただけでも「なるほど!」ってちょっと発想が変わった人もいるかもしれない。これから接することが多いであろう言葉。自分で考えて、自分の言葉で意味をぜひ創っていってください。

僕もブリヂストンって会社に入った時に、ちょうど(会社が)アメリカの大きな会社を買収して一気に世界展開を始めたんですね。なので、その当時は“グローバル化”という言葉がよく使われていました。自分もあまり疑問も持たずにそのまま“グローバル化”だ、って仕事していました。なんで”インターナショナル“じゃないんだろう?”とか、思えば疑問ですよね。
“海外に展開する”、“世界中で仕事をする”というのが“グローバル化”なんだ。かつ、日本のやり方だけをやっていたら駄目なんだろうなと。そこに適応していくみたいなイメージで“グローバル化”を捉えてたんです。

“グローバル”を英英辞典で引きました。そうすると、なんかステキだなと思う定義がありました。1つは「全世界」ということです。だから「グローバルイシュー」とか。そういう意味じゃ世界中が同じように“温暖化”というと、まさにまつきよが言ったような“画一化”みたいな(意味合い)も、相当あるかもしれないよね。地球レベルでね。
もう1個はこれ。これが面白かったんですね。「まるっと全て」だと。それをもうちょっと言い換えると「決め付けない姿勢」とか「(決め付けない)考え方」なんじゃないかな。“グローバルな人ってどんな人”って(さっき)やりましたよね。僕自身は海外に出張したり、グローバル人事のコンサルティングでグローバルを目指してずっとやってきたたんですけど、ブリヂストンの頃は35カ国、それぞれの国に赴任する人の労働条件を僕1人で全部担当して、組合と決めたりとかやってたんです。そういう意味じゃ、日本からいろんな国に送り出すお世話役をしてました。

優秀な人がたくさん海外に行くんですけど、なぜか馴染めずに帰ってきちゃったりとか、いろんな文句もでてくるんですよね。「ここは違う」とか「ここは不公平だ」とか(笑)。
一方で、全然英語が話せない人もいます。ブリヂストンって会社は久留米が発祥なので、実は東京工場も久留米から人と町を丸ごと持ってきて作ったりしたんです。そういう意味では、(会社の)文化的にはすごく九州なんですね。(東京工場を作った時と)同じように、九州の工場から(の応援で)インドの工場立ち上げるぞって話があって、僕もインド(の田舎町)に1カ月ぐらい行っていたんですけども、(九州から応援でインドに来ている人たちが)みんなものすごく適応してるんです。「冨岡しゃん、よく来た!」とかいって、夜の街に連れてかれてエンジョイしてるんですよ。当時はアプリとか何にもないです。すごいなと思ったんです。これは何なんだろうなって思うと、やっぱり“決め付けない姿勢”。まるっとその場を受け入れてた。「もう何を言ってもしょうがないんだから、この場を楽しもうよ」みたいな感じがすごくあるんですね。
その一方で、自分のやり方とか、成功体験がすごくしっかりある人。それ(があること)自体はとてもいいことなんですけど、自分のやり方と違うことにストレスを感じる方というのは、なかなかうまくいかないんですよね。

(海外で働くには)言語の違いはもちろんあるんですけども、これはアプリと同じです。前提として「決め付けない」OSがないと、どんなに(外国語の)言語アプリをインストールしてもうまくいかないことが多いんじゃないかなと。そういうのはすごく実感しています。
僕自身も自分では決め付けてないと思いながらも、やっぱりあるんですよね。自分のいた世界の常識みたいなものが。それを外すのは簡単じゃないんですけども、一人で旅をしたりとか、自分の常識が通用しない場に身を置いてみるとか、(そうすることによって)、そういうOS =“決め付けない姿勢”は、ちょっとずつ養われるんじゃないかなと思います。

海外で働きたくないという新入社員が過去最高を記録しました。2年ごとの隔年調査なんですけども、「海外で働きたいと思わない」と答えたのは63.7%に上ったと書いてありますね。理由が「語学力に自信がないから」。今日は(「グローバルに働きたい?」の数字の幅は)0%から100%までそれぞれあったけど、低い数字を付けた人でもすっと行ける人もいっぱいいるんじゃないかなと思いましたけど。
「語学に自信がないから」。どうでしょう?さっき僕の経験として、語学に自信のない人が海外で活躍していた話をしました。さっきの“NARUTO”(のエピソード)だってそうだけど、語学に自信ないけど、なにか共通の接点、お互いの共通言語、言葉に代わるものがあると結構コミュニケーションは取れます。
たとえば、製造業だったら工場の設備。久留米出身の現場の職長さんは久留米弁、筑後弁でやってました。インドの人に逆に日本語を教えちゃう。「お前、覚えろ!」って。なにか(たとえば設備のような)接点があると意外に大丈夫です。
あとは“伝えたいもの”がないと語学は使えないんですよ。自分の中に「これを相手に伝えたい!」というものがあれば、結構なんとかなるかもしれないですね

もし興味があれば後でネット検索してみるといいと思いますが、グローバル企業と呼ばれるところの人事部が「イモトアヤコ」を欲しがっているそうです。知ってる方は彼女のスタイルとか見てれば分かるけど、基本的には“何とかなる”、まさにそうですよ。プラスあと語学をちょっと勉強しとけばいい。
最初に必要な姿勢って、「言葉は通じなくていいから、物おじしない」「肝が据わった」とかいわれるけど、やっぱり怖いじゃないですか。初めてだとやっぱり怖いので、なかなか難しいと思うんです。だけど、「決め付けずに楽しむ」みたいな姿勢は、国内にいても養えるし、ちょっと一人で海外に行けば、よりそういう感覚を養うことができるというふうには思います。

ビジネス・ブレークスルー大学って略してBBTというんですけど、僕はその大学院で、働きながら2年間MBAという経営の勉強をしました。自分なりにちょっと壁に当たって勉強したんですけど、(在学中に)学長の大前研一さんからすごく面白い話を聞きました。東大の新聞部が「どうすれば大前さんみたいに海外で活躍できますか?」って取材に来たそうです。まさにグローバルに活躍するための秘訣(ひけつ)みたいなのを取材に来たらしいんですよ。大前さんはこうやって答えたというんですね。「うん、簡単だよ。チケット買って空港に行けばいい。」って。
何でもそうだけど、最初から大活躍はできないじゃないですか。だから、「活躍したいと思うんだったら、チケット買って空港行ってみれば?」って。時代も流れて、今はチケットがほんとにすぐアプリで買えるでしょう?日本国内、鹿児島に帰るよりももしかしたら安く買えるかもしれないよね。これも決め付けないってことの1つなのかな、なんて思ってます。

語学、英語、みんなはどうですか?英語得意な方っていますか?ネイティブレベルですとか?遠慮してる?いろんな会社でよくあるんですけど、「英語話せるやつは、何かかっこつけてる」とか、そういう意見が出てきたりするんです。話せることを、あんまりポジティブに捉えない風潮はあるのかもしれないですね。
僕は英語は“マグロ化”してくと思います。養殖マグロができはじめたじゃないですか、近大が開発してね。養殖マグロに当たるのが翻訳アプリです。あと5年・・・これからは翻訳アプリがあったら、ほとんど困らなくなる時代がすぐそこまで来てると思います。なので、勉強しなくても多分困らないレベルまで行きますよ、言葉はね。マグロだって養殖マグロを食べてこれは天然かどうかとか分からないじゃないですか。

みなさんはその過渡期なので、逃げ切れるか、逃げ切れないかのとこはあると思うんです。でも大丈夫。10年後はもう何の不自由もなくなっていると思います。
ただし、天然で話せる人。僕はやっぱり大事なことを進めるときには、(オンラインゲームで会話した)“たる”みたいに片言でも直接話すってことが、信頼関係作ってくと思うんですよね。
だからテクノロジーの恩恵は受けながら、アプリをどんどん使いつつ、一方で片言でも自分の大事な人に対しては、大事なことについては、ちょっとでも自分で伝えようとする。こういう使い分けができてくると、マグロ化する語学でいいんじゃないかなと思います。

冨岡:
セッション2ということで、どうでしょう、グローバルは怖い?というところが、何かちょっと面白いかもしれないとか、ありかななんて思ってくれたらうれしいですけど。
テーマは「まるっと楽しむ」「決め付けない」という姿勢を持ってもらった上で、“コミュニケーション”を考えていきたいと思います。

「自分の答えを創ろう」ということで、「もし初めて日本に来る外国の大学生に、東京でお薦めの休日の過ごし方を聞かれたらどうしますか?」。なにか個人的に繋がりがある人がいて、「遊びにおいでよ」なんて言って本当に来てくれた。あるいは、大学の交換留学とかでちょっとアテンドしなきゃいけないことになった。休みの日のお薦めの過ごし方は何でしょうか?
今からワークシートを配ります。頭の中で思い浮かんだら、手を動かして書いてみるといいと思います。いろいろ思い浮かぶことをメモに書いて、最後にそのワークシートで自分の頭の中で整理してください。
で、整理する時にこれ(ワークシートは)「結論」と「理由」というんです。
会社でいろんな研修をやってると、「(当社の社員は)論理的なコミュニケーションが苦手なんです」という話が出てきます。「どういうときに苦手だと感じるのですか?」と聞くと「話が分かりづらい時」と返ってくる。
話を分かりやすくする「論理」で一番簡単なのは、まず「結論」がある。その「理由」がある。ただそれだけです。(結“論”+ “理”由 =“論理”です)
お薦めするときにも、あんま堅苦しくやらなくていいですけど、自分の頭の中には「これはお薦めだよ」って、結論はスパッと明快にしてください。

なんでこれをお薦めするのかという理由を3つ。3つ使えると思ってください。理由が1個だけだと思い込みに聞こえるんですね。「あなたはそう思うだけでしょう?」とか「他にないの?」って他人は思っちゃうので。理由が3つあると、2つぐらいが相手の心に刺さると「ステキだな」って思ってもらえますね。
自分から発表するって人から。じゃあ、すみきち。

すみきち:
はい。では私の発表を始めたいと思います。私の東京でのお薦めの休日の過ごし方は、「東京メトロ24時間きっぷで遊べ!」というタイトルにさせていただいております。
理由は3つ挙げてるんですけども、まず始めに都営地下鉄4路線、東京メトロ9路線、合わせて13路線もございます、複雑怪奇な日本の地下鉄網。地下鉄の駅同士がつながってるとか、駅の出口がもうA-1からA-14、B-1からB-9みたいにたくさんある、そういう複雑怪奇な日本の地下鉄網。それから2分おきに銀座線がやってくるとか、そういう正確なダイヤであるとか、そういった部分で日本のすごく実利的な部分、実務的な部分での日本というのを体感していただけるかなというところが、まず1つです。
2つ目、これは多彩なルートが設定でできるというところです。人によって興味とか、見てみたい日本の姿というのは違うと思いますので。原宿、表参道というファッションの街を見ていただいてもいいですし。築地、浅草、銀座という、いわゆる日本の伝統を感じることができるルートというのも設定できますし。いろんなニーズに対応することができるかなというところで、2つ目のお薦めポイントです。
最後が安いという点です。行きたい場所があったとしても、幾つか場所をまたいで行くとあっという間に交通費が、結構かかってしまうことがあったりします。大学生だとあんまりお金も使いたくないかなというときがあったりすると思うんですけど。東京メトロの切符であれば、多分600円とか、800円とかそのぐらいで、都営まで足しても多分1,000円前後で収まると思います。
さらに今手軽なので、これどこの券売機でも買えますし。1回買ってしまえば乗り降り自由ですね。「やっぱりあそこに行ってみたい」とか、お店の人が「あそこがいいよ」って言ってくれたとか、そういったときに「じゃあ、行こうよ」ということがフレキシブルにできるというのが、この24時間切符乗り降り自由というものの、一番の魅力かなと思っています。
この3つを理由としまして、東京を遊びたおすプランということで提案させていただきたいなと思います。以上です。(拍手)

冨岡:
ありがとうございます。時間もぴったり。
じゃあ次の方、すみきちが選んでマイク、バトンタッチしてください。

ジョン:
ジョンです。僕は「ラーメンとすしに行くこと」をまずお薦めします。外国人は日本に興味があるから日本に来てると思うんですけど、実際どんなことをすればいいかよく分かってなくて。というのが僕のいとこがそうだったんです。まず彼らのニーズと興味を刺激するものといったら、まずは“食”なんですよ。それが1番目の理由。自分がいなくても外人同士だけで行っても、食事というのは結構盛り上がる場となるので、行きやすいと思います。
かつ自分が行けたら一番いいんですけど、自分がしたい。自分がしたいことをお薦めしないとあんまりちょっと効果ないと思うんです。
3番目の理由、すしだけに限定されるんですけど、すしが回ってくるのって、アメリカ人大好きなんですよ。「Oh! It’s turning!!」みたいな感じで。(笑)
「Wow! Wow!」みたいに。人が自分の注文を持ってこないのって、結構画期的みたいで。この“すしは回る”というのを僕は見せたいです。ありがとうございました。(拍手)

冨岡:
ジョン、ありがとうございました。

さこー:
東京でのお薦めの休日の過ごし方は「女性を連れてお台場へGO!」です。お台場というのはテンプレート化されたデートスポットであって、テンプレートを知るってことは、その土地の人間を知るってことに直結すると思うので、理由の1つとして挙げました。
お台場のほう、臨海の副都心の方というのは、東京の渋谷、新宿とかとはちょっと違ってます。渋谷、新宿というのは戦後のカオスの様子のまま成長したという側面がありまして、臨海のほうというのは全く違う新しい街なんですね。だから違った東京をちょっと見せれるんじゃないかなと思いました。
最後は女性はテンションが上がるよねって。あとジョンさんが言ったように、自分のしたいことをプレゼンしないと意味がないということは共感しました。以上です。(拍手)

もりもと:
最後に発表させていただくのは、すごい大変恥ずかしいんですけど。僕の東京でのお薦めの過ごし方は「TDRで制服ディズニー」です。まずTDRというのは東京ディズニーリゾートのことなんですが、制服ディズニーというのをちょっとお薦めしたいなと思います。
理由は大きく3つありまして、1つ目がまず僕の友達の女子大生の子とかも、よくやってるんですよ。東京ディズニーランドに制服で来たよみたいな感じで。僕たちの今回のテーマってのが、日本に初めて来る外国人大学生に、東京でのお薦めの休日の過ごし方を聞かれたら、どう提案するかというテーマなので、やっぱり大学生の同世代の文化を体験するのが一番楽しいのかなということで、日本文化体験という意義を込めて、まず1つ目の理由はこれです。
2つ目には、文化体験だったら、他の文化はもっと伝統的な文化を体験させればいいじゃないかみたいなことを言う人もいると思うんですよ。陶芸したりとか、漆塗りをしたりとか。でも漆塗りだったら漆でかぶれちゃって、嫌な思い出になったりとかそういうこともあるんで、それに対してディズニーランドは絶対外れないんですよ。もう絶対に楽しいのは、100%間違いないので。これを提案したらほんとは嫌なんじゃないかみたいな不安に駆られることがなく、楽しさ間違いなしという意味で、2つ目の理由です。
3つ目はやっぱし、今どき大事なのはインスタ映えをするということです。インスタ映えしてると、僕も見ててやっぱり楽しそうだなと思うし。そいつが国に帰って、向こうの友達に「こんなとこに行ってきたんだ!」みたいな感じで制服ディズニーの写真とか見せたら、向こうの友達も「これ楽しそうだね!」みたいな感じで言って、きっとうらやましがると思うんですよ。やっぱり日本のそういう文化がいいのかなと思って、こういうことをお薦めしたいなと思いました。
最後に、僕はあんまり東京ディズニーランドとかに制服で行きたいと思わないタイプの人間なんですけど。でもちょっと心の底では、ちょっと何か楽しそうなことやってるなみたいに思ってるので……でも外国人の友達を案内するためだったら、僕も制服着てやろうかなみたいな感じなるかなという個人的な理由です。ありがとうございました。

冨岡:
せっかく話してくれたので、ちょっとだけそれぞれにコメントを付けたいなと思います。4つほど視点持って聞いてました。何かというと、今回は自分の答えを創って伝えるってことなんですけども、これは何でもそう、仕事をしてるときでも同じです。
まず、“主観”があるかです。「自分はこう思う」。自分がほんとにそう思ってるかという“主観”。これがスコーンと抜けちゃうとただの説明、場合によっては批評っぽくなったりするので「自分はこう思うんです。だからお薦めします」という“主観”がすっと出ているかということ。これが1つ目。

ただ、「自分が、自分が」だと相手がいるので、いわゆる独りよがりになっちゃうと思うんです。そこはやっぱり相手をきっちりイメージして、相手にとって価値があるものを考える。これ“相手価値”というんです。もっとシンプルにいうと“プレゼントしようとしてるか”です。みんなもプレゼンテーションの機会があるかもしれませんけども、いろんな会社でもほとんどの人がプレゼンに対して苦手意識が強いです。緊張するとか理由はいろいろあるんですけどね。
「じゃあ、モノのプレゼントをもらったり、あげたりするのはどうですか?」と聞くと、「うれしかったり、選ぶのがそれなりにわくわくしたりする」って言うんです。プレゼンテーションって“プレゼント”です。モノじゃなくて“価値をプレゼント”するということなんですよね。今回はお薦めの提案ということなんですけども、なにか“相手に価値をプレゼントしよう”ということが伝わってくるかな、工夫してるかなというのが、2つ目の視点。

3つ目は、今日はなくてもいいかなとは思ったんですけど、自分がそう思ってることを相手に伝えるためには“客観”です。「特にこういうことが有名です」とか「こういう実績があります」とか。特に日本人は実績に弱いんです。
僕も、(お客様の)会社からよくオリジナルの提案を求められて「やりましょう!」ってもって行くと、「ところで実績はおありですか?」って。「えっ?そっちですか?」ってなりますけど、そこで「大丈夫です。」というと、なんとなく信頼感があるような、安心感があるようなね。これを“客観”というんです。今回の提案にはあんまり要らないかなと思いながらも、ちょっと視点を1つ置いて聞いていました。

最後は“オリジナルかどうか”です。いろんな過ごし方で、どれでも楽しい部分はあると思うんです。でもアウトソーシングしないで、自分でオリジナルを作ってるかなというあたりを1つ視点に置いてみました。

順番にコメントしていきたいと思うんですけど、最初に話してくれたのが、すみきち。「都営&東京メトロ24時間きっぷで遊べ!」。複雑怪奇な地下鉄網、ここでもう笑っちゃったんだけど、なんだっけ、何路線って言ってたよね。

すみきち:
都営4路線、メトロが9路線、合わせて13路線。

冨岡:
13路線ね。なんでそんな知ってるの?

すみきち:
ちょっと好きなもんで。

冨岡:
そう!ほら、その数字が言えるというのは実は“客観”なんです。数字があるとすごく説得力が出てくるじゃないですか。そして、やっぱり好きなのね。だからここに“主観”があります。自分が好きなんです。
じゃあ、これ結構乗るんですか?やったことある?

すみきち:
やりたいなって思いつつ……

冨岡:
ここはやっぱり“主観”です、自分が好きでやりたい。
渋谷、原宿、表参道のファッション。ここは、築地とか浅草ルートとか、確か多様なニーズに応えられるという話があった。そうだね、これだけ複雑怪奇な地下鉄網があれば「行きたいとこある?」って聞いて、あればそこに応えることももできるね。「あなたがお薦めの場所どこですか」って言われたらどこに連れて行きますか?

すみきち:
浅草ですかね。

冨岡:
浅草。理由は?

すみきち:
自分は、テンプレート化された観光地ってあんまり好きじゃなかったんですけど。浅草ってどっちかというとそっち寄りかなってイメージがあったんですけど。掘り下げれば掘り下げるほど、歩けば歩くほどいろんなものが見つかる街だなというふうに思ったので。1番自分も楽しめるし、王道の雰囲気も味わってほしいかな。

冨岡:
すてきだね。僕は「浅草」って聞いた瞬間にもう決め付けてたもんね。アウトソーシングなのか、テンプレートかって思ったけど、決め付けないで楽しんだらいろいろあるということね。ちなみに何を発見したの?

すみきち:
表通りじゃない、裏路地みたいな所に、昔からやってるような料亭の看板とかを見掛けると、こういう所に残ってる物もあるんだなという発見が。

冨岡:
自分で歩いたというのが伝わってくるよね。“オリジナル”だよね。ステキです。
安い、手軽というのも“プレゼント”だよね。やっぱり相手が学生だということ。自分も学生だというのあると思いますけど、一般的に学生はちょっとコストセーブしたいなって気持ちがあるんじゃないかなって、これは“相手にプレゼントしようという気持ち”がありますよね。
オリジナル感がすごくありますよね。ステキだなって思って聞いてました。

そして2人目にジョン。もうシンプル。「ラーメン・すし」。(笑)
「外人が気になるのは食です」って断言してたけども、これはなんだっけ。どういうところで「食なんです」という……

ジョン:
アメリカに親戚が住んでいて、遊びに来た時に、「まずは食事がしたい」って言うんですよ。そこを受けて、まずは食から入るのが一番いいのかなと思って、僕は初めてということも考慮して、食を押します。

冨岡:
「食」。間違いないって感じはするよね。なにか食べる物、まず食ですってね。そうジョンは…「自分がしたい」って言ったよね?特に何がしたい?

ジョン:
ラーメンとすしが食べたいです!(笑)

冨岡:
ラーメンとすし。普段、食べてないの?

ジョン:
いや。食べてます。もっと食べたいです!(笑)

冨岡:
ちなみにお薦めの、何かもう特定のこれってありますか。固有名詞。

ジョン:
風風ラーメンです。

冨岡:
そうそう。今、外人もラーメンのことを知ってるようになってきましたよね。実際にアメリカだったらラーメン店出てるじゃないですか。もちろん都市にもよりますけど。“ラーメン”でもいいけど「“風風ラーメン”がおいしいんだよ!なぜなら……」みたいなことまで踏み込んでいくと、よりオリジナリティー出てくると思います。
ラーメン屋さん2軒も3軒も回れる?お腹いっぱいなっちゃうような気がするんだけど?
面白かったのが、回転ずし。何か、これは客観というかイメージがね。実際に連れていったの?誰を連れてったの?いとこ?連れていったら「It’s turning!」って?

ジョン:
興奮してました。

冨岡:
それは成功体験になるというか…。その驚いてる部分は、ある意味、“客観”というか、イメージが湧いてくるよね。「回るんだよ!」「えーっ!」みたいな感じがありましたね。
ただ、オリジナリティーってところでは、コンテンツの力に任せてる部分があって、そこを一般化しないでもっと固有名詞で踏み込んでいって、自分ならではのガイドすると、ぐっとオリジナリティーが上がってくると思います。食事の案内をしてくれるのは、すごくうれしいかもね。

そして、3人目がさこー。さこーは「女性を連れてお台場へGO」ってことで。これはもう連れて行くのは女性限定?

さこー:
友人が男性という想定だったんです。

冨岡:
友人が男性で、この女性というのは誰?

さこー:
女性は誰でもいいんすけど。自分の友達なり。友達の友達なりを…。

冨岡:
男の学生を連れてくときに女性を連れてってあげようと。自分がしたいと。そのほうがうれしいと。すごくプレゼントしようという気持ちは、伝わってくるね。喜ぶ人も多いかもしれませんね。
僕がちょっと思ったのは、女性はテンション上がるということは、プレゼントしようとしてるのは、自分の友達?日本の友達にプレゼントしようとしてる?ここでテンションが上がるのは日本の友達が上がるってこと?

さこー:
(笑)。

冨岡:
さこーが行って、自分の友達と盛り上がっちゃって、何か寂しい思いさせないようにだけね。そこら辺がもうちょっと最後まで手放さずに、最後までプレゼントしようとしてあげるといいんですけど…。
ここは面白かったね。渋谷とか新宿とは違うよとか。違う雰囲気でお台場。もしかしたらなかなかお台場なんて、ちょっと足伸ばしにくいとこかもしれないですね。なので、違う東京を見せてあげようというようなところは、プレゼント感をすごく感じました。

そして最後はもりもと。「TDRで制服ディズニー」。僕、ちょっと分かんなかったです。制服というのがちょっと分かんなかったね。コスプレじゃなくて?これは何を着てくのかな?

もりもと:
高校時代の制服とかを着てるんですよ。着て、写真を撮るというのがあって。僕はしたことないですけど。

冨岡:
「僕はしたことないんだけど、実はちょっとしたい」って言ってたけど、本当はめっちゃしたいんじゃないの?(笑)

自分だけなら恥ずかしいってことも、そうだよね。外国の友達と一緒に行くというのが前提になってるのがすごくステキなこと。お薦めして、自分も行って、自分も着るんだね。友達の制服はどうする?

もりもと:
コスプレですよね。制服とか、そういうお店もあるので。そうしたらまたそこで文化を、違ったカオスな文化を知れるのかな?

冨岡:
自分で高校の制服を着て女子大生がやりがちなことを体験します。でも、それを日本文化体験に変えてることが、かなりニッチな体験かもしれないです。
俺もやっていいの?

もりもと:
是非!(笑)

冨岡:
無いだろうって決め付けない。決め付けない。ディズニーに行くと、魔法がかかるから、ありかもしれない(笑)
「インスタ映え」とか…この辺は“客観”というかな?「インスタ映え」って言葉はグローバル?日本だけなのかな?海外でもあるのかな?

もりもと:
ニュースで見たんですけど、外国人観光客の人が北海道のきれいな花畑とかに入って、ちょっと問題になってたりとかするんで。やっぱり、写真映えがする所に行くのはみんな好きなのかなって思います。

冨岡:
そうだね。そうやってスマホとか持ってれば、その辺はある意味おんなじ、画一化じゃないけど、写真でアップするというのはあるかもしれない。この辺が“客観”ね。インスタにもいいように。そういうの好きな人だったら、響くかもしれませんよね。
オリジナリティーって意味では、非常に判断が難しいとこだよね。制服ってあたりは、誰かがやってるという意味ではあるけども、ディズニーに行けば間違いないというのは、定番にアウトソースしてるというところはあるんで、もしかしたら他にオリジナルを創ることできるかもしれない。そんなふうには思いますね。

4人とも、どうもありがとうございました。
今回は(「もし初めて日本に来る外国の大学生に、東京でお薦めの休日の過ごし方を聞かれたらどうしますか?」)こういうお題でやってみました。
僕自身を振り返ってみると、最初の勤務は工場だったんですけど、海外の姉妹工場から日本に学びにくる方たちがいて、ちょうどイタリアからいらしてた方たちで、僕のお父さんみたいな年だったんです。非常にかわいがってもらって、「冨岡、休日アテンドしろ」って話になって。その時に僕がやってしまったのは“はとバスツアー”完全にアウトソーシング。全く自分がそういう引き出しがなくてですね。
一番困ったのはお昼だったんですよ。あんまり交際費ももらえなかったので、僕自身も高いものは食べたくないなと。それで、あろうことか、イタリア人をプロントに連れていって、パスタを出したんですね。(後から)これはあまりにもひどいなと思って(笑)。
何か日本の文化と思って、皇居とかいろいろ連れてったんですけど、全然喜んでくれなかった。「イタリアの方が古い建物あるよ」とか言われて「あっ、そうなんだ…」みたいなね。今思うと、ちょっとした自分自身の後悔みたいなのもあるんです。なんでもうちょっと相手にプレゼントをしようって気持ちが湧かなかったのかなと。

“コミュニケーション”というけども、やっぱりそういう気持ちがあって、かつ、ちょっとオリジナルね。今は旅の情報もネットやアプリでたくさん取れますよね。なので、情報収集は(外国人でも)自分たちでできる時代という前提に立てば、やっぱりそこじゃないところでもっと楽しんでもらうことを考えられたら喜んでもらえるかもしれない。そんなお題だったんです。
自分の答えを創って、コミュニケーション。プレゼントを創って、伝える。自分で伝える。今の伝え方もみんなとっても良かったと思います。

僕自身はずっと答えを読んできたというお話しましたね。正解を読むことをしてきたので、なかなか自分の言葉というものを持ててなかった。失敗したくないとか、否定されたくないとか、怒られたくないとか、多分そういう思考がすごく強かったと思います。
だから余計思ったのですけども、仕事を通じてステキだなと思う方がたくさんいるんですね。そういう方って共通して、余裕じゃないですけど、スッと立ってるって感じなんですよね。オリジナルともいってもいいんですけど。

あるときに“共通した口癖”があることに気付いたんです。それが「〇〇とは☓☓☓と思います」、「私はこう思います」という言い方なんです。自分なりの考え抜いた答えがあって、それを押し付けるんじゃなくて「私はこう思います」っという言い方するんですね。

僕はコンサルティングの仕事を長くやってたたのですが、一時期は「・・・しなきゃ駄目なんです!」とか、ちょっと上から話すとかしていました。(その言い方の裏には)自分の自信の無さがもちろんあります。人(コンサルタント)によっては「断言してあげないと駄目なんだよ!」なんて言う人もいたんですけど、なんか気持ちが悪いんですよね。
そうやってやってくうちに、「あっ、この人すごいな」って思う人たちに会ったら、「もし私があなただったら、こう考えます」って言うんですよ。「私があなただったら、そうします」。この伝え方が一番ステキだなと思って。

この「〇〇とは?」が自分の答えを創ったことになるんですけども、これってやっぱり考えて、実際やってみる(ことから創られています)。みなさんもこれから機会があれば実際にやってみるといいと思います。自分で面白いなと思った事をどんどんやってみて、失敗して、それを笑い話にしちゃうぐらい(そこから自分の答えを創る)。特に仕事だといっぱい失敗します。
そんなこと(失敗経験を踏まえて)「自分の答え、行き着いたのはこんなことなんですよ」と話してくれる方が多かったです。

じゃあ、午前中はここまでで終わりにしたいと思います。おつかれさまでした。