平成22年度第4回:『インターコミュニティーの実現』パネルディスカッション

岩崎育英奨学会 政経マネジメント塾
岩崎育英奨学会 政経マネジメント塾 平成22年度シリーズ

第4回:『インターコミュニティーの実現』

パネルディスカッション

パネリスト
石原 靖也 先生 (東光石油株式会社 代表取締役会長)
松脇 秀三郎 先生 (株式会社テクノアート 代表取締役)
コーディネーター
岩崎 芳太郎 (「政経マネジメント塾」 塾長)
開催日時
平成23年4月5日(火)13:30~15:00
場所
ホテル日航熊本「阿蘇の間」(熊本市上通町2-1)

石原 靖也(Yasunari Ishihara)

1954年 熊本県生まれ
青山学院大学英米文学部・産業能率大学卒業
1978年 米国グッドイヤー社オハイオ州本社勤務
2006年 東光石油株式会社代表取締役社長
2010年 東光石油株式会社代表取締役会長CEO(現職)
現在、熊本商工会議所常議員、熊本県教育委員、熊本県「新幹線元年委員会・観光立県県民会議」委員長などの要職をはじめ、「熊本暮らし人祭り みずあかり」実行委員長や、「熊本いいくに会」代表幹事などの地域ボランティア活動にも取り組む。

松脇 秀三郎(Shusaburo Matsuwaki)

1957年 鹿児島県生まれ
同志社大学大学院 工学研究科修了
1982年 九州松下電器 材料研究所勤務
1992年 株式会社テクノアート代表取締役(現職)
2007年 Microsoft partner of Year 2007受賞 Microsoft Gold certified Partner
社団法人九州経済連合会会員
現在、社団法人流通問題研究協会理事、熊本経済同友会 IT部会副部会長、熊本県情報サービス産業協会理事などを歴任

講義内容

岩崎:
皆さんこんにちは、副理事長の岩崎でございます。今日11時30分の新幹線に乗りまして40分ちょっとで熊本に来られました。本当に九州が1つになったなという感じが体感して味わえた次第でございます。今日は本当にいろいろ日本も大変な時期、またお仕事も大変な時期にこうやって政経塾を開催させていただきましたところ多くの方にご参加いただきましてありがとうございます、御礼を申し上げます。

あいさつは簡単にさせていただきたいと思いますけど、1つだけどうしても申し上げたいことがございます。私は今司会のあいさつにもありましたように地方分権論者ではなくて地方主権論者でございます。分権と主権の違いは何かという話はもう省略させていただきますけど、いずれにしろ中央から何かを与えられるのではなくてもともと地方というものが独立した存在である、やはり地方は自尊心と自助心と自立心という中でわれわれが頑張ることによって初めてわれわれの地域が良くなるし、そういう地域の集合体である国が初めて反映するのではないかというふうな考えを私は持っておりまして、そういう意味におきまして当財団は地方の人材育成ということが結果的にはこの国の反映につながるものだという考えを持ちまして2年前からこの政経マネジメント塾を開催しております。

最近でこそこういう考えを申し上げますと賛同していただける方がだいぶ増えてきましたが、ほんの少し前まではやはり地方の人材育成などといいますとそういう地方のエゴイスティックな考え方はないだろうと、どうせ人材育成するのだったら国のための人材育成というお話がありまして、確かに日本も戦後復興の中である時期までは地方の人材育成というよりはいかなる地域においても有意な人材をそれなりの人材として育成して国のために頑張らせるということが大切なことだと思いました。しかし最近はやはりいろいろな意味で時代が変わりまして、ここの部分はお話ししますと長くなりますので省略申し上げますけど、ちょうど幕末において藩校で各藩のための人材を育成し、またその地域地域の高名な学者や人格者が私塾を開き人材を育成し、その人材が幕末によってめいめいの考え方のもとにめいめいの信念のもとにいろいろな活動した結果この国は明治維新ということで近代国家をつくり上げたという意味においては、逆に今の時代においてもその地域地域においての人材育成がひいては国家の人材育成につながると、そういう時代に変わってきたというふうに考えてこういう塾を始めた次第でございます。

東北の地震で一極集中のある種の脆弱さ、それイコールこの国の脆弱さというものを多くの方が痛切に感じておられると思います。そういう意味では地方の人材育成イコール日本の人材育成、それが急務であるのではないかと生意気ながら非常に感じておりまして、わが塾もそれなりになにがしかの貢献ができないかなと強く希望する次第でございます。わが財団及び政経マネジメント塾へ今後ともご指導ご鞭撻をお願いいたしまして私のごあいさつに代えさせていただきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

岩崎:
それではよろしくお願い致します。プロとは違いますので進行が手慣れないかもしれませんけどご容赦ください。それではまず最初に今回のパネルディスカッションのテーマでありますインターコミュニティーの実現というこのインターコミュニティーという言葉と、今回こういうテーマでパネルディスカッションをしようというふうにご提案いただきました松脇さんの方から人材育成という絡みもちょっと頭に入れながらまずお話を賜りたいと思いますのでよろしくお願いします。

松脇:
テクノアートの松脇です。今回岩崎さんからお電話を頂いてちょっと政経マネジメント塾をやりたいのだという話がありましてさてどうしようと、まず最初に浮かんだのが石原さんで、この方のお話をぜひ私も聞きたいという思いがあって考えて、だったらおまえも出ろということで今日ここに出させていただきました。

インターコミュニティーというのはこれは私の造語なのですけど、私はIT、コンピュータのシステム開発をしております。インターネットという言葉がネットワークとネットワークをつなげるものということでインターネットワークという言葉があるのですけども、先ほどの中東でのいろいろな変化もインターネットが及ぼした影響だと、要はジャスミン革命と呼ばれていますがTwitter革命とかいろいろ言われています。そういうふうにネットワークとネットワークがつながっていく、そこにいろいろな新しい動きが出る。特にインターネットというのは情報の発信を個人でもできる、要はパワートゥーザピープルという方もおられますけど、本当に中央集権ではなくて一人一人が、地方が情報発信して、その情報をお互いが共有するところにさらに新しい付加価値が生まれてくる、それがインターネットの大きな力だと思っていました。

昨今やはり新幹線ができて岩崎さんも40分で来たと、実は私の会社はセミコンテクノパークという合志と菊陽の町境にあるのですけどこのホテルまで40分かかったのです。ですからもう時間距離は鹿児島と合志町も同じなのです。福岡はもっと近いですよね、30分で着いてしまう。時間と距離の壁をインターネットが越える、新幹線がまたそれを越えてしまう。そうかと、やはりいろいろなコミュニティーとコミュニティーがこれからつながりだして相互に刺激し合って、そこにまた新しい付加価値が生まれてくる可能性を僕はこの新幹線にすごく強く感じていますし、またそこに強く期待しているところです。

今回その地域主権に必要な人材というキーワードを頂いたときに、私の周りにさまざまな素敵な方がたくさんおられます。今日の石原さんもその代表の方だと自信を持って言えるのですが、本当に先週の日曜日に人吉の青井神社に遊びに行った時にその隣で地域のお祭りをしていました。そこにおやじバンドが地元の人吉を歌にして歌っておられてコンサートをやっていました。これは素敵だなと、各地域地域にすごい情報発信力を持っている方がいて、地域のまちづくりとか村おこしとかされている方がいて、僕はそういう人たちにたくさん出会いたいなと、出会いたい、また発見したい、またそういう人たちがたくさん集まる場があれば相互に刺激し合っていろいろなアイデアがまたそこに生まれて地域活性化がどんどん加速度的に広がるのではないかなと、そういう思いを私はこのインターコミュニティーという言葉に込めています。

熊本の中でもいろいろなコミュニティーが存在します、また地域ごとにも存在します。私も鹿児島生まれで福岡育ち、熊本在住、熊本にもう30年います、ですから熊本が一番の故郷になっています。それでも今福岡に行けば福岡が地元の顔をしていますし、鹿児島に行けばやはり鹿児島の人間だという顔をしています。僕は非常に幸せだと、生まれた時から僕は九州人ではないかなと思っています。そういういろいろなコミュニティーを皆さんも持たれていると思いますし、そのコミュニティーがお互いに出会って相互刺激し合うことでまた新たな付加価値がたくさん生まれてくる。自分の故郷を大事にしていいまちにしたい、いい仲間と楽しいことをしたい、本当に基本にあるのはそういうことではないのだろうかと思っています。いろいろなコミュニティーが出会って、またその出会う場をつくることができたらこんなに素敵なことはないのではないかなと思っています。それでインターコミュニティーという言葉を今回提案させていただきました。以上です。

岩崎:
ありがとうございました。今松脇さんの言うことを聞いていまして、確かにコミュニティーというのは私はどちらかというとアナログ人間なものでフィジカルなコミュニティーばかりを考えていたのですけど、Facebookもある種Twitterもインターネットの世界のコミュニティーというのは一国の政権をひっくり返すぐらいのパワーを持つ、バーチャルの世界でのコミュニティーというのはそれぐらい現実社会に影響を与えている時代になりつつあるのにもかかわらず、一番フィジカルなまちだとか郷土だとか、そういうコミュニティーでまだネットワークなりそういうコミュニティー間のネットワークというのが世の中を変えるほどまだ強いコミュニティーになっていないのかなとすごく感じまして、それだけに今日のパネルディスカッションも力を入れてやりたいなと思いつつ伺っておりました。そういう意味では熊本というコミュニティーの中で世代とか民と官とかそういう境を越えて1つのイベントというか事業を成し遂げることによって、またネットワークを築き上げた実績をお持ちの石原さんの方からみずあかりというお祭りにからめたところのコミュニティー、ネットワーク、人材育成、そういうところでちょっとお話を賜りたいと思いますが。

石原:
皆さんこんにちは、東光石油の石原と申します。自分がやってきたことが人材育成ということになったというのはいわゆる結果でありまして、決してそんなものを大きくもくろんだわけではなかったのですけども、もしご存知のない方のためにということで今日事務局の方でみずあかりの表表紙の写真が出ていますけどもこういうのをつくっていただいておりますので、ちょっとこれに沿ってどういう結果が生まれてきたかというようなものをお話をしたいと思います。みずあかりというのはご覧のように最初のページですけども、竹を使った明かりのお祭りです。熊本はいわゆる水の資源力という、これを誇ってもいいまちです。明かりというのは阿蘇の1つの象徴だということで、実は水と明かりというふうに勝手に造語として使っていたのですけども、実はどうやらそうではないということが後で分かってきました。それはまた後ほどご説明します。2枚目もその会場の風景です。

8年前ですけども、実は新しい祭りをつくるというテーマを持った時にどうせ新しい祭りをつくるのだから熊本の資源をとにかくすべて引っ張り出そうというようなことがテーマでした。ここにありますような先ほども写真にありました中にもあります水、火、それから森の都という、実はこれはメイン会場になる花畑公園の存在というのでそこに行き着いたりしております。使うろうそくは宝暦の改革の時に主役の産業になりました和ろうそく、この和ろうそくの生産というのはいまだに日本でトップなのです、そういうものを使っていくという、こういうものを参加する学生さんたちにもその機会ごとにお伝えしているところなのです。

3枚目にありますけどみずあかりという、実はこの中の文章、これは後ほどお時間があったら読んでいただきたい大変素晴らしい文章なのですけども、実は最初このみずあかりという勝手に造語として括弧仮みたいな中でこのみずあかりを考えていたのですけども、題字ぐらいはちょっと高名な先生に書いていただきたいということで、実は名誉市民になられました安永蕗子先生にお願いしましたところ最初お断りをされました。なぜかというと水と明かりなどという違う2元素のものが1つの言葉になったようなものは世の中にないのだというようなお言葉でないものは書けないというのがお答えだったのですけども、実はどうやらそういうような理屈ではなくて60年前に書かれた安永蕗子先生の本の存在を私が単純に知らなかったということだけなのですけども、この中の文章は安永蕗子先生がないと言われたそのみずあかりという言葉を使った「みずあかりの記」という60年前に書かれた安永先生のいわゆる処女エッセイだったのです。その冒頭のページです、簡単に私なりの解釈をしますと、熊本はいわゆる奇跡のようなまちなのだと、そこに地下からあふれている水がまちをつくっていくと、その流れていく水が側に流れていきそこに当たる陽の光、要するに側に光るこのキラキラするこれがみずあかりなのですけども、この風景こそが熊本の誇るべき1つのシーンだというようなことを書かれております。

一番びっくりしましたのはこの文章の最後から2行目にルルドの水だというふうに書いてありましてこれにびっくりしまして、これのルルドというのはフランスにありますマリアさまがいる奇跡の泉ですね、あそこに行ったら皆さん病気が治るというので年間数百万人の人が訪れるという場所です。これはどういうことかというと熊本を好きだとか愛しているというのは私たちも言えるのですけども、自分の生まれたまちを奇跡のまちだというふうなまで大げさに言ったことはないなと。でも実は60年前に今でこそ熊本の水のことを言われていますが、実は60年前にもう既にこの水のことを言及してこのまちのことを描写していた方がいらっしゃった、しかもそこにある言葉は奇跡のまちなのだという。ルルドということになりますと聖なるまちですね。そうなりますとこれ以上自分たちのまちを誇る言葉はあまりないのだろうと思います。自分たちの生まれたまちが聖地だと言われた時に実はびっくりいたしました。そのまま実はそこで土下座をいたしまして自分たちが持ってきたみずあかりというのではなくて先生のここに書かれたみずあかりそのものを祭りの1つの題にさせてくださいということでこの題字が出来上がったというストーリーがあります。ここに出くわした言葉は聖地という言葉で、自分たちのまちをここまで誇れる言葉、このくらい思っていいのだということですね。

実は次のページにもう1つみずあかりという言葉が出会いの中で学ばせていただくことになりました。これは上の句が抜けているのですけども、春風や世に星あかり水あかりという、これは江戸時代の俳句なのですけども貞風という、あまり有名ではないのですけども俳句がございました。この中に出てきます「水明かり」、これはどういう意味だろうかということでお尋ねしましたら、実は「1人ぼっちで苦しい時に、空を見上げろと、そこには満天の星あかりがあなたを照らしているのだ」と、「あなたは決してその孤独でも寂しい存在ではないぞ」ということを教える。「苦しかったら水あかりで川面をのぞいてみろと、そしたらその川面にあなたをキラキラ輝かせる光の群れがあるぞ」と、それが水あかりがあなたを守っているのだという、やはりものすごい地域の人を思うというような言葉につながってくるのでしょうけども、そこにあります「水あかり」というのが実は勇気のあかりというような意味に僕らは取っていいのではないかというふうに思いました。安永先生の聖なる地という自分たちのふるさとの誇り、それから水あかりそのものが実は勇気を与えていくのだという、これが実は祭りのコンセプトになってまいりました。次に一隅を照らすという言葉入ってきましたけども、これは仏教の言葉なのですけども、自分たちの灯す本当に大げさではないたった1個のあかりが自分の足元を照らすだけではなくて周りの足元を照らしていくよというこの言葉、みずあかりの作業を見ていますとまさにこういう感じがします。こういうことを1つのコンセプトにしたわけです。

次からが先ほど岩崎さんから頂きました答えの部分になってくるのですけども、この作業プロセスというのが実は大変な意味を持っているということに気が付かされました。みずあかりをやる時に3つの原則をつくったわけです。1つは官に頼らない、要するに行政に頼らないということでどこまで市民がやれるかということです。お金集めそれから人力、すべてとにかく民でやってみようということでスタートしました。それからいろいろな人たちがこれに参加してきます、大学生もいますし会社の経営者もいます。でもすべてこれは平等主義でやるぞということです。そして3番目がすべて巻き込むような形の構造を取っていこうという、こういう3つのことだったのですけども、官に頼らないということでスタートしていまだに行政からお金を頂くことはないのですけども、実は私は熊本市の市役所の人たちを素晴らしいなと思ったことがあります。民が一生懸命汗をかいてやっているわけですね、非常にでき損ないの1回目のみずあかりでしたけども、それをもう見ておられんというような市役所の職員さんたちが今では300名を超すようになりましたけども、今そこにボランティアで参加してくれております。それから熊本県庁の方、これも200名を超すようになりました。それからここの写真にもあります自衛隊の方々が同じく、これはボランティアなのです、業務ではないのですね、今100名以上が参加していただいていることになりました。

あとのページはちょっともう割愛させていただきまして、実はこの中から何か生まれてきたかということです。結果人材育成というところに行き着いたのだなというふうに思っておりますのが1つはこの平等主義というところにありました。例えば大学生の女性がある地区のリーダーになるとします、そこに私も一兵卒として作業に入ります。そのときにはこの大学生の指示に従っていくということが大原則なのです。そうなりますとどういう身分であろうがどういう立場であろうがそこにいるリーダーの方たちに従っていく、もう本当に自分のお孫さんみたいな子がリーダーになることだってありました。そういう人たちが祭りが終わって数年たっていきますとどんどん自信を付けていくということが実感できました。その中でやはり1つのことをなすということの中に決してその社会的な身分だとかそういうものではない、目的を同じくしたときに自分が果たす役割というものを本当に自覚できる、そういう場でもあったということです。

それからもう1つ最初に申し上げました行政に頼らないでやるということ、これが非常に大きなテーマだったと思います。決して行政のことを嫌っているわけではないのです。行政の方には規制緩和のパートナーになってほしいということでスタートしました。私たち市民では道路許可も取れませんし河川の許可も頂けません。そういうところを行政の方に動いていただくというパートナーとして位置付けさせていただくと。ところが先ほど申し上げましたように現実は今数百名の行政の方々がボランティアとして今参加していただいています、官民一体型になってきました。ただわれわれ民にしてみれば頼らないというこの言葉が実は非常に刺激的であり、でも同時に非常に苦労の道でもあるわけです。

やはり自分たちが頼らずに何かをやってみようという中にこのことを進めていきますと、例えばお金が足りません、毎年足りないのですけども、そこをとにかく行政にお願いに行けばなんとかなるのかという思いもありますが、もうひと頑張りして寄付を集めてみようという、そういうイベントをやるときには皆さん当たり前のことなのですけども、実は頼らずに設定してやるということの中で不自由さはありましたけども、実は自立心というものがどうも芽生えてきたという気が今しております。この延長の中で実は市民というものが今まで自立していたかという問いが同時に出てきます。いつも何かあれば行政に頼りっ放し、文句を言うのは行政だと、いいも悪いも行政だというような、やはりそういう依存型になっていなかったかどうか。実は人材育成というテーマの中に脱依存、要するに自立をしていく。これは後半の大きなテーマでもあるというふうに聞いております、このへんでやめておきますけども、簡単にこのくらいのイベントなのです。でもこれをやるプロセスの中で譲れない原則を貫いていったことで、その平等主義から出てきた子どもたちの自発性であり自信であり、それからもう1つ頼らないという自発性、自立性みたいなものが実にここに芽生えてきたなという感じがしています。

こういうことがあったものですから県の新幹線事業の委員長にということを拝命しました時に同じ手法を使わせていただきました。実は今行政に全く金がない、そういう時に新幹線が開通するという、ある意味不運な時に熊本にそういうチャンスが来たわけです。ですからこれはもうみずあかり方式でやるしかないなということで全県下全部手づくり型の地域おこしというものをもう一遍手法としてやりながら地域を磨こうということをずっとこの数年間叫んでまいりましたし地域の方とも話し合いをしてまいりました。この手法でいきますと確実に今人が育っているということを実感できます。特に新幹線から遠かった人吉、それから大和町でありますとか、何回か行っているうちにもう全く違う動きをその地域で始められる、自分たちで考えたことをとにかく実践しようとする、その時に役場に頼らない、観光協会に頼らない、自分たちでとにかく手づくりでいい、形はもうボロボロでもいいのだけど自分たちでとにかくやろうという、そういう中で人材が育ってきた。地域の人材の育成というのは単純に言うとこういうイベントといいますかこういう催しの中で結果的に出来上がっていくのですけど、やはりその時の原則、これを外さなかったというところに1つの結果を出す要因があったのかなというふうに今思っているところです。以上です。

岩崎:
ありがとうございました。何か半分ぐらいはもうこのパネルディスカッションの結論めいたところをお話ししていただいたような気がしますけど。私はいろいろ人と違った持論を持っているのですけど、例えば偏差値の高い人を一般的には頭がいいと言いますけど、私はわが社の社内で社員の皆さんに偏差値が高い人間はただテストの点を取るスキルが高いだけで決して頭がいいわけではない、それ以上にそういう人たちを秀才と言うけど決して能力がある人間というわけではないというような話をしまして、この話をするとまた長くなりますので途中ではしょりますけど、そういうときに人材育成を考えますと専門家の方はもっと違う分析をされるのでしょうけど、一番人材育成というと教える、上位にある者がその下の者に関して知識だとかいろいろなことを教える。それからOJTといいますか経験する、実体験する、現場でいろいろなことをやっていく。それから切磋琢磨といいますか触発され合うという3つのパターンがあると思います。

やはりその中でこれも私のユニークな持論でございますけど、この国は教えるということだけが人材育成なり教育だということで知識偏重型になったということで、さっき申し上げたように知識の量を単にペーパーテストで測るだけで本当にその人の能力を測れるわけではないけど、そういう人間がある幻想のもとで能力があるということでリーダーサイドに回っていったというのがこの国の不幸ではないかと。そういう意味でそういうことはどうでもいいのですけど、今石原さんがご紹介いただいたように、その2番目の経験するとかOJTの世界で1つイベントみたいなものを参加型でやるというものの非常に成功事例ではないのかなというふうに私はお聞きしていて非常につくづく思う次第でございます。

もう1つはちょっとこれも生意気な言い方になるのですけど、その四全総で定住人口の増加ということによる国土発展というものが財源の限界をということである種そのポイントは正しかったと思うのですけど、交流人口の増大ということが五全総で語られるようになってから、ある種たいがいの人がイベントとか観光とか金太郎飴に叫ぶようになったと。その中でこれもちょっと語弊がありますけど、いろいろな人がいろいろな善意のもとにいろいろなイベントやいろいろな企画を考えて協力を仰ぐと。企業としては協賛金の協力を仰がれるということでいけば地域にとって非常にいいことなので、日本にとっていいことなのでということで協力するという現実とは別に、すべてのイベントがある種の行政と同じような予算主義になって、とりあえずお金を集めてあとはそのお金をひょっとしたら消化するだけ実態があるのではないかと。

ここで悩むのはそれをやっている人たちが善意のもとに善かれと思っているわけでして、このジレンマというのは私は最近非常につくづく協賛企業側では感じるところがございまして、そういう意味でも石原さんの立ち上げられたみずあかりというのはそういうことから全員で試行錯誤すること自体が実態の社会における何かを成し遂げていくことの経験自体が人材育成につながっていくのではないのかなというふうに思って聞いておりました。

そういう意味では進行上ちょっと脈絡に途切れがございますけど、その3番目の触発し合うというところに関してもやはり非常に重要な人材育成システムではないのかなというふうに考えます。例えばかなりはしょった議論になりますけど、今後九州が1つとなって、逆に言えば日本の機関車になるためには特にリーダークラスの人たちがどうやって九州の中でネットワークをつくっていくかみたいなのもやはりかなり戦略的に、もしくは意図的に誰かがつくっていかなければいけないというふうに私は考えている次第でして、そういう意味では今回の新幹線、最近はハードウエアをばかにされる時代になっておりますけど現実には新幹線というハードウエアができることによってネットワークがつくりやすくなったということは大きいことでして、この新幹線を契機に九州のネットワーク、それが触発し合う人材育成システムでもあるというふうに私は考えておりまして。そのへんに関してちょっと順番にお1人ずつご意見を賜りたいと思います。よろしくお願いします。

松脇:
話題のテーマがちょっと広くなってあれなのですが、私の趣味で実は人材育成が趣味というか、もう10年熊本県立大学と福岡大学で非常勤講師をしていまして、特に福岡大学のはこの5年ほど産業戦略論を経済学部でやっているのですけども松脇ゼミと、要は私塾みたいな形で人材育成をやろうと。今の大学生をざっと見て先生の立場から大学の中を見ると最初から3割ぐらいは就職不適合の学生がいます。私の息子も今大学生なので自分で言って自分で反省しているところもあるのですけど、やはり学校教育うんぬんというよりもやはり親であるとかやはり社会全体がどこかで間違えたなという思いがしていまして、具体的に何を教えているかと、要は基礎学力と人間力だと。基礎学力は読んで書いて計算する、読み書きそろばん、さらに専門知識、そして教養だと。ただこれは1人でできると、だけど人間力は1人ではできないと。僕のゼミでは切磋琢磨する仲間の中でお互いに成長しろと、そういうことをしながらいつもやっています。

特にぱしり理論というのが、これは非常に僕は大事だと思っていまして、1年2年は3年4年のぱしりをしろと、3年4年は1年2年をぱしりで使いこなせと。1年2年はこの先輩についていってよいかしっかり見極めろと、あかんと思ったらさっさと見限れと、3年4年は見限られないようにしっかり頑張れと、しっかり育てろと、おまえには世話になったなとたまにはご飯をおごるのがかっこいい先輩だと、そういうふうな教えを実際に実践した連中は逆に言うとすぐ社会人として力を発揮するのですね。われわれ大人は非常に当たり前ではないかということを今の学生さんたちは全く知りません。1年生と4年生がため口で話す、とんでもないことですよ。もう本当に今何が現場で起きているかというのをぜひ見てください。ここに大部分経営者の方がおられると思いますけど体育会系の学生を取っておけば安心だよねと、これは皆さん思われていると思います。確かにそうです、だけどもっともっと可能性のある学生がたくさんいるのですよね、その学生をどう見つけていくかもったいないのですよ。

われわれ大人がビジョンを示して彼らがもっともっとこっちに行けよと。例えば授業中に携帯を触る、遅れてもしらっと教室に入ってくるのです。だけど1回きちっと教えるのですよね、ドアをたたいて、こうこうこういう理由で遅れました入っていいですかと。私が機嫌が良ければ入れと言うし機嫌が悪かったら出ていけと言うと。だけど遅れたのならちょっと差し入れの1つや持ってこいと。差し入れを持ってきたらおれも気分がいいから入れてやるよと、先生それはわいろですかと、ばかやろうわいろじゃない、これは誠意だと。そういうふうな話からいろいろなことを話していきます。これは大人の世界で当たり前のことを彼らに伝えていきたいのですよね。実はものすごく世代間のギャップが広がっています、ここにもちょっと危機感を感じています。

また偏差値教育うんぬんという話の中でちょっと学生の話をしたのですけど、私はベンチャーでもう今19年やっています、その中で会社をつくる時に1つUターンの受け皿企業をつくりたいと思ったのです。やはり私も長男なのです、かみさんも長女なのですけど長男長女の時代、でも優秀な男が東京に行っていい女が熊本に残っている、だから女性を活用する、女性というのは地方のすごく大きな人材だと。同時にいい男に地方に帰ってきてもらいたい。だから給料は下がってもい仕事をしたい、じゃあおれたちがいい仕事をして彼らが帰ってきたくなるような会社をつくろうと思っていました。まさに長男長女で上の面倒をみたい、帰りたい、でも何か面白い仕事がないよねと思っている僕の同級生もたくさんいます。皆さんいい会社をつくっていい人材をたくさん地元に戻したいなと。彼らがまた新たなコミュニティーをつくっていってやはりもったいないなと。昔岩崎さんに聞いた話なのですけど、鹿児島なんかも1万人ぐらい学生を東京に出している、仕送りと授業料を考えたら鹿児島県は年間東京に300億も払っている、これはおもしろい発想だなと。確かに熊本も同じぐらいは東京に300億ぐらい金を送っているかもしれない、全国ではものすごいお金ですよね、それだけ東京に上納金を与えている。でも育ててもらったらしっかり熊本に帰ってきてもらいたいなと。やはり人材の流動性も大事だし、また向こうでいろいろな知り合いまたは能力を高めた人間がやはり地方に帰ってくると。何かそういうふうにもっと人が動くとかいろいろな人脈を持った人同士が出会ってさらにお互いの人脈を交換するとか、そういうことができれば素敵ではないかなと思っています。

最後に私はニュービジネス協議会というところの熊本地区委員長をしています。ニュービジネス協議会はニュービジネスを発展させようということで福岡に事務局があるのですけど、これは大きな経済団体の中で唯一九州全体を一体としてやっている組織で非常に面白いです。私も熊本委員会なのですけど本当に福岡、また鹿児島、いろいろなところの人たちと一緒に会合をやるという、これの熊本地区委員会を今度拡大したいと思っています。なぜか、せっかく九州全体が1つの組織として、また1つのコミュニティーとしていろいろな活動をしていきます、いろいろなベンチャー支援をやったり学生発大学ビジネスプランコンテストであったり、または経営を学ぶ会とかいろいろな著名な経営者を呼んでひざを交えてディスカッションをする会とかそういうのがたくさんあります。ぜひそういうことをやりたいと思って石原さんに声を掛けたり、今何名かの方に声を掛けて熊本地区の委員会をもっと拡大しようと、そのメンバーと福岡または広島、または大阪、または鹿児島と、そういうコミュニティーとどんどん出会ってお互いに情報交換する場をたくさんつくって、そこに新しい付加価値をたくさん生んでいかないかなというのを期待しています。これもまずは場づくりだと思っています。そういうことを含めて人材育成に貢献できないかなと考えています。

岩崎:
一応パネルディスカッションの構成は35分、10分休み、35分なのですけど、一応後半の5分を前に持ってきて石原さんに人材育成ネットワークでお考えになっていることをちょっと触れていただいて前半を終わりたいと思いますので、ではよろしく。

石原:
僕もみずあかりの話にちょっと戻りますけども、分かりやすい共有できる目標というのが非常に励ましになるという1つの例を申し上げますと、当時5年目ぐらいだったと思いますけども東京の大手の広告代理店の方が見学に来られました時にご案内いたしました。それでどのぐらいの予算でやっていますかという質問がありまして、逆に「御社が、熊本市から受託したらいくらで受けますか?」という質問をいたしました。「うーん」という顔で「5,000万ぐらいですかね」というお話がありました。確かに1つの行政の祭りというのは6,000万、7,000万とざらに掛かっております。それでじゃあどのくらいですかと、その時は500万でした。実は民が汗をかくと10分の1でできる、しかもこの500万は行政からお金を1円ももらっていませんという話をします。これを学生に伝えたのです、そしたらある意味で狂喜乱舞しました。自分たちがやっていることが少なくともこのぐらいの価値、このぐらいの体感をできる機会を持つということは5,000万のお金が必要なのだと、ところが自分たちがやることによって10分の1でできているというものすごい誇りなのですね。こういうものを共有できる1つの目標値だというふうに思っています。

それから人材育成の中でもう1つ述べますと、この話を経済同友会を含めて福岡に行ってお話しする機会が多いのです。そしたら実名を出しますけども、今JRの会長になられました石原会長から実は福岡の学生をそっちに回すから彼らをここで体験させてくれないかという話がありまして、去年も100名近い福岡からの学生さんがこのみずあかりのいわゆるボランティア応援で来ました。彼らと話をしますと福岡にはこういう場がないと言うのですね。それで熊本のこの場というのは素晴らしいのですと、なぜかというとそこまでストイックに頑固に哲学を貫くぞというのがなかったのだろうと思うのです。でもそれを貫くと実は学生間の交流も当然ありましたし、福岡の学生さんたちも今度は何か福岡でやってくれるのではないかという期待感があって、この間もその知らせがありまして、じゃあ僕たちも応援に行くぞというような話になりました。さっきから何度も申し上げますけども実はこういうものが1つのイベントです。でも僕たちはこれを祭りと言っています、イベントを越えていくぞという。その中で交流、それからやはり体感をして自分たちが育っていくという、何かを感じてくれるというその場になっているのだろうというふうに思います。以上です。

岩崎:
一応これで前半をとりあえず終了させていただきまして…

岩崎:
それでは前半の最後のところを受けましてちょっと私がつなぎ的な発言をさせていただきますけど、実は今日福岡の樋口副会頭がわざわざ来ていただいておりまして、2月だったと思いますけど新幹線開通前に福岡の商工会議所と熊本の商工会議所と鹿児島の商工会議所で新大阪から新幹線にずっと乗って姫路と岡山と広島とですかね、それと博多で観光のプロモーションをしました。それと明日は宮崎の商工会議所と熊本の商工会議所と鹿児島の商工会議所、鹿児島で3県の会議所会議というのも一応やることになっております。九経連は松尾会長の発案で去年から地域委員会というのが各県にできました。同友会は同友会でいろいろやっておりまして、先ほどの松脇さんの使った言葉でいきますと場という意味においては既存の経済団体は少なくともそうやってネットワークにかなり積極的に動いているのではないのかなというふうに私は考えます。もちろんそういうネットワークも人材育成という意味では非常に重要なのですけど、その既存の経済団体とか組織だけでは逆に言えば拾いきれないというか、そういう意味においてはやはり新興勢力というとちょっと言葉が適切ではないのですけど、いろいろなくくりの中でのネットワークというのがやはりどんどんできていくということがやはり非常に重要ではないのかなということを私は考えておりまして、この政経塾もそういうネットワークができていくきっかけになる場だと思いまして、ことしは福岡、熊本ということで全部九州内で行っていこうというふうに考えております。それに関しましてお2人からまたちょっといろいろお考えを聞かせていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。

石原:
先ほど松脇さんからニュービジネス協議会の話が出ましたけども、私も今同じテーマで動いておりまして、今日は大変熊本の方だと思いますけども、今熊本で経済活動をしている中で一番元気のいいグループといいますか層はどこだと思われますか。なかなかこれは答えに窮すると思うのです。熊本は大きな企業がない分どこが本当に元気があるのか、福岡に全部持っていかれているのではないかとかいろいろな危機感がありますけども実は飲食です。特に居酒屋をやっている人たち、これはものすごい力で動いていまして、4軒5軒やっている若い連中がいまして遥かに私よりも高い収入を得ているのだろうなというふうに思っています。ところがそのエネルギーが今どこも拾いようがないのですね。経済同友会に入るわけでもない、商工会議所でも拾えてない、ところが明らかにこれがもうエネルギーなのです。これをニュービジネス協議会できちんと彼らを主役にするような場として持てないかと。本当にニュービジネスというのはITだとかバイオだとかというだけではなくてこの流通の中にもたくさんチャンスがあるのです。私は石油業ですけれども脱石油ですから当然ニュービジネスに向かって会社を進めなければいけないという立場にあるのです。ですからそういう意味では未来を見ているという経営者にとってみれば全部ニュービジネスなのです。その若手のいわゆる飲食店の店主たちに出会いますと、これは熊本は絶対大丈夫だという気が本当にします。

彼らはまた福岡それから鹿児島の若い人たちとも連携を取っていまして、九州を食のアイランドにしたいみたいな大きな志を持って動いています。でも誰が彼らをオーサライズして評価してあげられるかということなのですけども、私は今既存の団体でなかなかそれができてないとするならばこのニュービジネス協議会が1つのチャンスだろうというふうに思っています。そしてもう1つはのれんを背負っている事業体があります、うちもその1つかもしれませんけれども、そこに2世3世が今どんどん生まれていますけれども、彼らも今どこに向かっていこうとしているかがなかなか自分たちでも模索をしています。しかしこの動きとさっき言いましたような飲食店の人たちとの出会いがもし何かで実現できれば熊本の足の引っ張り合いというような構造ではなくて、本当にエネルギーとして1つの形になるのではないかなというふうに思っているのです。そういう意味でもこれが人材教育かという、いきなりその答えに行くかどうか分かりませんけども、やはり地域をなんとかしたいと思っている若い人たちがたくさんいます。しかも今力を持ち始めているということなのです。ところが私も含めてほとんどこの会場に来ている方はその存在を知らないのです。この動き、このエネルギーがあるということをぜひ信じてほしいと思うのです。確実にその人材が出てきているということだと思います。

それからもう1つ付け加えます。先ほどみずあかりの話をしましたけども、この震災がありました、3.11以降どういう動きが始まるのだろうというふうにやはり自分なりに思っています。実はみずあかりの主人公である若手の連中がもう12日には現地に入っておりました。びっくりしました、あまりに衝動的な動きでちょっとおまえたちもう少し待てというつもりでもおりましたけども、実は彼らはみずあかりの中でそれが養われたかどうかは知りません、ただ少なくとも自分たちでなんとかしたいという思いの彼らがもう十数人、全部みずあかりチームです、デザインとかをやってくれる若い連中です。昨日その一陣が帰ってきましたけれども、やはり向こうでネットワークを築きながら公と違う私の動きの中でやはり働いています。こういう若い連中が今出てきているのです。これは僕らは信じていいと思うのです。これは3.11以降に大きく変わっていく何か意識変化ではないかなというふうに思っています。ですからわれわれが人材教育というこの旗以上に実は若い人たちというのはもう既にそのことを分かっているのかもしれないなという気が今しているところです。以上です。

岩崎:
松脇さんどうぞ。

松脇:
まず私も何か聴衆になっていまして、お二方の話が非常に面白くて何の話をしようかなというのがだんだんなくなってきまして、私の持論をちょっと1つ2つしゃべりたいなと思います。私はやはり技術者なのです。スパッタのハードディスクというものを日本で最初に熊本でつくっていました。熊本の菊水に昔九州松下電器というのがありまして全世界の磁気ヘッドの60%をつくっていました。熊本工場が火事になると世界のコンピュータの出荷が止まってしまうというぐらいのシェアを持っていたのです。要はテクノロジーは場所を選ばない、地方でも熊本でもできる、熊本だからできる、そんなベンチャーをやりたいと思って自分でも始めたわけです。要は意志があればどこでも面白いことができるなと、それが私の持論の1つです。

技術屋として昨今いろいろ見ていると、特に原発の事故を見ていると非常に痛ましいのですけど、私も学生時代から九州松下でずっと放射線の装置を扱ったものですからずっと被曝バッジを付けていまして、それで被曝ということに関しては持論があるのですが。私は今長崎に6年ほど住んでいまして、長崎は原爆が落ちました、3キロ離れると死亡率1%なのです。残留放射能も100時間が強くてそれを超えると問題がない、1カ月たつとほとんど問題がなくなった。要は長崎とか広島で原爆が落ちてもすぐ復興しているわけです。確かに最初の熱線と爆風と放射線でほとんどの人が死んでいるのですけど、今の原発を見ていてそんなことが起こる可能性はほとんどない、なのになぜこんなに東京を含めて非常に恐怖感が日本中に漂っているのだろうなと、もっと技術屋がちゃんとした情報をちゃんと言わないといけないのだろうなといつも思っている次第です。スペースシャトルに乗れば1日1ミリシーベルト受けるとか、CTスキャンを1回受ければ6.9ミリシーベルト受けるとかいろいろな情報がたくさんありますけど、ほとんど何百マイクロシーベルトが出たと大騒ぎしているわけです、何かおかしいなと、ちゃんとした知識を伝えないといけないのだなと思っているところがたくさんあります。

そういうことを考えながらいつも思っていたのが、やはりそういう思いを持っている方がたくさんおられていて、先日ちょうど私の会社のそばに熊本県の技術短大の学長がおられて、ちょっと最近テレビ放送を見ているとくやしくてたまらなくて、松脇くんおれの愚痴を聞いてくれと学長が来られて同じ原発の問題の話をちょっとしていました。テレビの報道があまりにも偏っているということでその先生も初めてテレビ局に電話をしたと。要は今戦っている連中をまずは励ましてやれと、批判は終わってからでいいではないかと、そんな話をしたと。古舘伊知郎がすぐ現場の方には敬意を表しますというふうな話があって自分も留飲が下がったと言っていましたけど、本当に何か情報が偏っているのです。中央集権ではないのですけど何か中央から流されてくる情報、それが正しいか正しくないかをじゃあ誰が判断するのだろうと。当然自分が判断するのですけど、またそういう考えをどんどん皆さんが情報を発信して、それで最終的に世の中が判断する、一人一人が判断する、そういうのが公平ではないかなと思うとやはり情報発信って大事なのだなと。

要は中央で決められたルールのもとにすべてが動いていく、これも大事な時期がありました。ただ今はやはり地方が自らが自立する、要は自分たちが自分たちの判断で動いていく、ものを言う。当然各地区が各地区でいろいろなことを言う、これはいいではないかと。お互い自分を大事にして、また相手を認めて、その中に新しい付加価値がたくさん生まれてくる、それが切磋琢磨ではないかなと。そういう切磋琢磨を学生もそうですけどわれわれ大人ももっとやって議論を戦わせていって、本当は何がいいのだろうと、自分のまちのために何がいいのだろうと、日本のために何がいいのだろうと、そういうのを皆さんと議論したいのです。その中にいろいろなアイデアが出て、そのアイデアが1つでも具現化するとやはり世の中が少しは良くなる、そういうことに貢献できたらなというのが私の1つの夢です。

インターコミュニティーという言葉も大げさに言えば薩摩藩と長州藩が出会う、あれだけ憎しみ合った間で薩長同盟ができた、これが1つのインターコミュニティーではないかなと、そのきっかけをつくったのが坂本龍馬だとするとそういうきっかけをつくりたい、またそういう場が準備できているときに何が起こるか分からないけどそこに何か混沌としたものから新しい価値観が生まれる、そこに何か文明というか人間の発達があるのではないかなと、そういう歴史観のもとにインターコミュニティーという言葉を私はすごく大事にしたいなと思っています。その中でも人材育成というのも育て方という問題ともう1つ育ち方という問題がやはりあると思います。どう育てようかということよりも僕は育ち方がすごく大事だなと。われわれ大人は少なくとも私は場を提供していきたい、その中で自らが触発されてみんな自分で考える力がある、その中に自分を大事にして周りを認めて、それで公の心というかそういうものを持つ、またそれに気付く、またそれを考え出す途端に僕は世の中が良くなっていくのではないかなと思います。

どうしても学生を見ているとすごく孤立しています。社会の一員であるという自覚がないのですよね。石原さんみたいに力があれば僕もやるのですけど、そういう場をつくることで学生に自信を与える、またはそういう可能性、チャンスがあるのだということに気付かせることが彼らが触発されて大きく変貌していく、これは素晴らしいですよね。そういうものにやはり私もどんどんやっていきたいですし、皆さんもそういう本当に近くの若い人たちに影響を与えるいい大人として発言していく、またそういうふうな場がたくさんある中でいろいろな世代、いろいろな仕事、会社という組織だけではなくてさまざまなコミュニティーに私も含めて皆さん属していますから、さまざまなコミュニティーの中でいろいろな情報発信をお互いがして、その中に新しい価値観をつくっていきたいなと僕は思っています。それが人材育成、育てる側の考え方もありますし自ら育つと、私も育つと。みんなが育ち方を考える時期に来たのではないかなとも思います。

岩崎:
お2人ともけっこう奥深いことをおっしゃっているので共通点を拾うのが難しくてちょっと強引かもしれませんけど、いわゆる私はうちの新入社員とか内定者に、君たちは横並び教育で育ってきた、親からも本人も横がどうだ誰々さんがどうだと、違わないことが自分にとって得なことだというふうに育ってきたけど今からの時代は違うことが大切だというふうに言います。さっきの人材育成ネットワークのことに戻りますと、基本的に皆さんが非常に体験されているようによく世間である異業種だとかいろいろな交流の場で一番重要なのは自分とは全く考えの違う人がいっぱいいるのだなというところが大切だというふうに思って参加されているし、それを実体験されながらそこから頂けるアイデアとか考えを頂いて役に立っていかれるということをされていると思うのですけど、ここに来られている皆さんはけっこうそういう意味ではやはり世の中はどうのこうの言っても個性の違う人たちの集合体であるというのを分かっておられる方だと思うのですけど、やはり日本全体は今非常に均一な違うことを排除したがる世界であり、それがある種マニュアル主義的な社会であり官僚主義的な考え方になっているのではないのかと。経済学的に言いますとシュンペーターが言うところの資本主義が資本主義故に滅びるということは、資本というものがどんどん巨大化すると専門化された官僚によるそういう大組織には個性、独創性、クリエイティビティーが消失するが故に、すなわち世に言うところのアントレプレナーというのが大組織によって死滅させられるということだと思うので、今やはり地方にとって、もしくは人材育成の視点においてはアントレプレナー的な人をどうやって育てるかというのはやはりネットワーク、場をつくってあげて違うことによって触発されながらやはり自分のアイデンティティーとかオリジナリティーというものをつくり上げていく、そしてかつ自分のオリジナリティーやアイデンティティーを持つが故に違う者同士の共通の価値観のベクトルをそろえるということが可能になるのではないかなと私は思っておりまして、そういうことを考えるのでわが社の社員にはまず違うこと、己の個性を持つことということをよく話をするのです。

ちょっと時間も過ぎてきましたのでちょっと強引ですけど、最後に人材育成のもちろん実務ベースの人材育成でありスキルの人材育成でありいろいろな意味であるのですけど、根本はそういうものは何のためにという意味においてはちょっとあまり日本ではなじまない単語ですけど、やはり私は根底にあるのは思想とか哲学ということであって、その思想教育というと何か日本でいくと戦前の全体主義的な思想教育と思うのですけど、その前提は今ダラダラお話ししました違うことが大切だとか、では自分が生まれた地域と故郷の関係とか、そういうものの考え方はもちろん一人一人哲学が違ってもいいのですけど、まずそういうことを大切に考えて、それから自分が何をしていくかということを考えなさいよという根本的な心の在り方の教育とか人材育成というのをこの国は非常に弱いところがあって、しかもそれは教育機関みたいな知識偏重型の機関では得られないという意味ではやはりその場をつくるとかネットワークというのが重要だと僕は思います。そのへん最後になると思いますけどお2人にお2人の思想、哲学もひっくるめた意味でのあえて思想教育の在り方とか哲学教育、啓蒙の在り方というのもちょっと言及しながらお話をしてください。石原さんは特に持論の都市国家の話からでも。

石原:
大変難しいテーマで、私はとにかく結果がそうなったというお話だけをしていますのでこういうことを目的にというのはあまり考えないものですから。ただやはり結果はそうなったということでずっとお話をしました。例えばまたみずあかりの話にちょっと言及しますけども、先ほど震災の地に12日に行っていた子たちというのは、どういうふうに我々と拘ってきたかということなのですね。彼らは大学生の時に我々と出会いました。それで大変大事な仲間なものですから、もちろん飲ませ食わせもしました。こういうイベントをやる時には大学生でもやはり仲間なのですね。彼らが東京で就職が決まりました、某大手ホテル。ところが全員その就職を蹴って熊本に帰ってきてしまったのです。なぜか、「なぜおまえはあそこへ就職しなかったのだ」と、その質問に対し、いとも簡単な答えを平気で言うのです、「いやあ、僕たちはこういうことで地域おこしをやりたいのです」と、「だからできればちょっと応援してください、地域おこしの会社をつくりますから」ということで彼らはそれで起業をしてしまいました、インキュベーションをしてしまいました。その彼らがずっといまだにこの「みずあかり」の中核になって支えていますけども常識的にはあり得ないのですよね。いまだにど貧乏ですよ。でも彼らは志みたいなもので生きているわけです、何を食っているか知りませんけど、おそらく志を食っているのだと思います。そういうのが地域に生まれてきているのです。

これはやはり僕らにとっても大きな財産ですし、われわれが人材教育という何か大上段に振りかぶらなくともわれわれと出会うことによって彼らの存在価値が自分たちで何か分かったのだろうと、これだけしかないのです。彼らを認めざるを得ないというよりも僕らは命令できません、彼らの指示を受けて動くというのが僕らの立場ですから。ですから彼らがやはりそこで評価をきちっと受けていくという、そのやり取りだったのだなというふうに思います。

実は今都市国家という話が出まして、これはお手元にお配りしてあるのでしょうか。この4月25日に創造都市への挑戦というタイトルで大阪市立大学の佐々木教授をお招きして講演会をやるのですけども、実はこの創造都市という言葉が今出てきていまして、この先駆的な例がイタリアのボローニャというまちにあります。イタリアはもともといわゆる都市国家ですから非常に自立型の都市が多いのですけども、このボローニャというまちが非常に面白い。とにかくイタリアの国がなくなってもボローニャだけはなくならないという妙な自負心を持ってらっしゃる、そういう人たちがまちづくりをやっているわけです。それでここに参加している人たちは何かアイデアがあるとすぐ協同組合をつくって事業化するとか、それから地域の文化を全部表に引っ張り出していくわけです。

例えば障害者の人たちがそこにいるとすると障害者の人たちにレストランをやってもらう環境だけをつくる、運用は障害者がやっているわけです。隣に菜園なんかがありまして、今度は市民はそこに行かないと恥ずかしいというような感覚になるらしいのです。そういう具合にしてどんどん自発的にまちの人たちが街をつくっていくという、そういうのが先駆的にこのボローニャという街にあるそうなのです。私はまだ行ったことはありません。そういうものをひも解きながら自立だとかそういうものがどういうふうな未来を持っているのかと。今までとちょっと違う、われわれは行政を中心にして動いてきたこの地域づくりみたいなものが民を中心にした場合にどういうふうな夢が出てくるのかというものを探ってみたいと思っています。

これはもう、まさに「みずあかり」が多少経験をした、参加しその一員となることで自信ができる、自負心も生まれる、まちの誇りも生まれる、そういうものがまち全体で起きてくればこれはすごいなと、九州がそうなればもっとすごいなというふうに夢見ています。その中でこのボローニャのまちをひも解きながら、実は日本のこの3.11以降の在り方はまさにこうではないかというふうに私は勝手に思っています。もう誰から指図を受けて、指示を受けてしか動けない民ではなくて、そこには自分たちで何かこれをやれるのではないかということが実現していくというまちづくりだというふうに思っています。

熊本は来年政令市を迎えますけども、実は政令市というのは行政機構の変化だけであって、ではどういう都市にしていくの?という問いがなかなか出てきていません。でもここの今回の4月25日の講演会の中では何か熊本がこういうふうに向かっていくことによって人が参加して同時にまちができていく、そこには学生たちも含めてそうです、若い人たちも含めて参加することで同時に人材教育ができながら、まちづくりの一員となっていくという、そういうまちができたらさぞ良かろうという夢を見ているわけです。こういうものがイタリアに現実にあるそうです。こういうまちづくりを通しながら、これも私は場だと思います。まちづくりという場を通してそこに参加していく人たちがどれだけ自立心を持ちながら、「おらのまち」だという自負心を持ってつくっていける一員になるのか、そういうものが都市全体の形成になっていけばすごいなというふうに思って、これはちょっと今回そのご案内も同時にさせていただいた次第です。長くなりました、すみません。

松脇:
何かほとんど結論をおっしゃったような気がしまして、私の出番がないなと内心思いながら振られた以上ちょっと何かと思いまして持論を話したいと思います。私も哲学とかすごく大好きです、それよりも歴史が好きです。学生にもよくそういう話をします。ところが今の皆さんご存じですかと、世界史は必修でも日本史は選択だと、今の高校生は大部分日本史を勉強していないのです。しかも理科系になれば社会科は全く勉強しません。こんなのでいいのかなと、日本の歴史を知らないのですよ。

ましてや地元の熊本の歴史は多分熊本の小学校の時にしか学ばない、もう中学高校になると教科書は文部省がつくった教科書になっていますから地元のことを学ばないのです。ですから地元というのをどこで意識してそこで学ぶのだろう、自分のご先祖さまをどこで学ぶのだろうと。いろいろな哲学があります、だけど非常にベーシックな哲学の中でもいわばコミュニティーを大事にしようとかふるさとを大事にしようとかいうレベルのことすら教えられてない。だから私が高校の時にちょうど博多の山笠の祭りが7月15日にあるのですけど1カ月前から練習するわけです。期末試験の前に学生が授業を休むのです。これはわれわれにとって当たり前だと思っていました、ところがある時新任の先生が来られていて、おまえ祭りと学校とどっちが大事だと、期末試験の前に休むなと。これが大騒ぎになりまして、次の日にOBが大挙押し寄せて祭りと学校とどっちが大事だという話になったのです。もう要は祭りの中で人を育てるのだと、学校だけで人材育成ではないのだよというのが博多のまちの暗黙の了解値だったのです。

これは素晴らしいなと思いました。まさに今石原さんのおっしゃったように祭りの中で若者を育てていく、みんなで育てていく、その中で一人一人が自立してまた地域に貢献していく、そういういい循環をつくっていく世代間のコミュニケーションというのもやはり祭りではないのかなと思います。当然学校そのものも改革していかないといけない。皆さんもたくさんインターンシップを受け入れていただいて若い人にどんどん自分の持論とか哲学とか大人の考えを伝えていってほしいなと。要は地域の人材、若い世代が明日の熊本をつくる、明日の日本をつくるわけですから、彼らにわれわれ大人の哲学であるとかいろいろな生き方をやはり伝えていく必要があるのかなと。今学生と社会がすごく分断されています、学生が社会を知りません、自分が何をしたいのかどんな企業に行きたいのかすらも判断できない学生が多いのです。われわれ大人と学生をもっと近づける場をつくりたいなと思いますし、皆さんももっと興味を持っていただきたいなと思います。

最後に私も九州ニュービジネス協議会を拡大したいなと思っています。そういう何かいろいろ議論をしたい、面白いことをやりたいという人にたくさん集まってもらいたい。石原さんの持論の中にあるヒエラルキーがない非常に平等なグループをつくっていろいろなところとどんどん交流していこうと思っています。居酒屋祭りを広島の人たちとしていいじゃないか、大阪の人たちとやっていいじゃないかとか、今いろいろな案が生まれています。そんなことを自らできる場も僕はニュービジネス協議会ではないかなと、非常にヒエラルキーのない九州全体が一体となった人の場があります、そこにもぜひ参加していただきたいなと思っています、よろしくお願いします。

岩崎:
そろそろ時間になりましたので一応まとめらしいものをおしゃべりしなければいけないのでそれにかからせていただきます。後半はどちらかというと地方の人材育成の先ほど申し上げた適切な言葉かどうかは別にして思想とか哲学というところのことで今お話ししていただきたくてちょっと強引でしたけどそちらに誘導したところがございますが、3人ともいろいろお話しする中で共通しているのはやはり自尊心それから自助心、自立心、やはりこういうものをまず個々人が持って、その人間がじゃあ自分のかかわっているコミュニティーとか地域とか関係者とどうやっていい社会というかそういうコミュニティーをつくっていくのか。そのつくっていく作業自体がまた自分自身を磨くことにもなるし、そういう人たちがまたネットワークをつくること自体がより次のステップへの人材育成のネットワークであるでしょうし。だからやはり私はそういう意味ではこの政経マネジメント塾でまず最初のあいさつでも申し上げますように、地方主権的な考え方の中でやはり自尊心、自立心、自助心というものが大切で、その価値観の中でやはり地域とどうやってかかわっていくかみたいなことの人材育成というのにこだわっておりまして、それは石原さんで言えば祭りから最近はイタリアの都市国家的なものにだいぶ今からいろいろエネルギーをお使いになるのだと思いますし、松脇さんは大学の先生をすることによって、もしくはニュービジネス協議会を通じてそういう人材育成にかかわっていかれるのだと思います。

そういう意味では今日ご参加の皆さんも当然それなりのお考えの中で今までいろいろやってきていただいている中で、ちょっと話をガラッと変えますけど、私は廃県置藩論者でございまして、明治政府が中央集権官僚国家、それによってこの国は確かに繁栄を迎えました。1回その中央集権官僚国家の暴走によってどん底に落ちてもまた復活してきましたけど、道州制がどうだとかいろいろなことが言われております。そういう意味では本当に政治体制としてこの国が廃県置藩になるとしたらあと100年か200年かかるというふうに思いますけど、われわれの思想というか哲学、もしくは人材育成というフィールドにおいては別に政治制度にとらわれるわけではないですから、せめて九州においては廃県置藩型の人材育成というものを徹底的に普及させたい、そういうのに賛同いただければ、ぜひ皆さんも今から、明日からそういう形でなにがしかのことをしていただければこの政経塾を熊本で開いたかいがあったかなと私は思います。

最後に私は福沢先生のつくった学校を出ておりまして、独立自尊という言葉は非常に有名な言葉でございますし、今一番この国にとって必要なことだと思っておりますけど、もう1つ福沢先生がつくった表裏一体の言葉がございまして共生他尊という言葉もございます。やはり独立自尊と共生他尊というのは本当にセットだと思って、日本はやはり独立自尊が欠けているからある種共生他尊ということに関してもいろいろなことはあるのですけど、他国に対してちょっとそういうのも欠けているのかなとは思います。これは国の話はどうでもいいのですけど、そういう意味では生意気なお願いになりますが当然皆さんはお分かりになっていると思いますけど、自立、自尊、自助を強調することによって共生他尊的な人間が九州にいっぱい育つということもぜひ意識されていただいたらうれしいなと思いまして、ちょっと5分ぐらい過ぎましたけど一応今日の政経マネジメント塾はこれで終わらせていただきます。本当に清聴ありがとうございました。