平成24年度特別講座:二人の鹿児島出身者の視点での地域と人材

岩崎育英奨学会 政経マネジメント塾
岩崎育英奨学会 政経マネジメント塾 平成24年度シリーズ

【特別講座】二人の鹿児島出身者の視点での地域と人材
(前編/後編)

ゲスト
渡辺 信一郎氏(会社顧問)
中尾 成昭氏(株式会社まからず屋代表取締役社長)
司会
岩崎 芳太郎(「政経マネジメント塾)」塾長)
放送予定日時
平成24年10月 27日(土) 6:00~7:00他 ※以降随時放送

渡辺 信一郎

1957年 鹿児島県生まれ
早稲田大学政経学部在籍中からさまざまな会社を経営。数年前に大病を患い闘病を余儀なくされる。
入院中にこれまでのビジネス中心の生き方に疑問を感じ、社会貢献、特に地元鹿児島への恩返しの念にかられる。

中尾 成昭

1957年 鹿児島県生まれ 慶應義塾大学商学部卒業
1982年 米国カリフォルニア州立サンフランシスコ大学大学院留学
1983年 株式会社まからず屋入社
1993年 同社代表取締役就任 現在に至る
現在、アジアフローリスト協会理事事務局長、鹿児島国際化推進協議会専務理事など多くの公職を務める。

岩崎 芳太郎

「政経マネジメント塾」塾長

1953年 鹿児島県生まれ 慶應義塾大学経済学部卒業
2002年 岩崎産業株式会社代表取締役社長
2012年 財団法人岩崎育英文化財団理事長
現在、いわさきグループ50数社のCEOとして、運輸・観光・製造など幅広く事業を展開
著書:「地方を殺すのは誰か」(PHP研究所)等

講義内容

<前編>

塾長:
渡辺さん、どうもこんにちは。

渡辺:
こんにちは。

塾長:
中尾さん、こんにちは。

中尾:
こんにちは。

塾長:
今日はお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。わたしどもの政経マネジメント塾でお2人をなぜ今日ここに来ていただいたかを簡単に説明致します。渡辺さんは鹿児島で高校までいて、東京に出て行かれて事業で成功されたと。中尾さんはお父さんの事業を継がれて、健全経営で今まで経営者をされていると。その傍ら結構市民問題意識が高くて、いろいろ人気のブログとかされているという意味では、わが政経マネジメント塾のテーマである「地域の自助・自立」、即ちそれは地方主権の地域社会を作っていく。そのためにはどういう人材育成をしていかなければいけないのか、どういう市民が増えていかなければいけないのかということに関して、お2人の経歴から違った角度からいろんなご意見をいただけるというふうに考えましたんで、今日来ていただきました。先ずはお2人に特に人材育成に拘らなくていいですから、今の鹿児島をどう思っていられるか、どう分析されているかというのを、先ずお聴きしたいと思います。では渡辺さんから、よろしくお願いします。

渡辺:
わたしも機会があるごとに鹿児島に帰ってきていろいろと見る機会がありますので、いろいろ見て回ってはいるんですけれども。一言で言うと、ちょっと寂しいですね。寂しいというか元気がないというか、やはりわたし自身はもう30何年前の鹿児島に育った者ですからその頃のイメージというものからすると、やはりちょっと元気がないのかなと思います。もうちょっと鹿児島に育っている間にはもうちょっとはつらつとしたというか、そういうような空気があったんですけれども。生活レベルでいうと昔のほうがずっと悪かったとは思うんですけれども、それとは違うやっぱり精神的な意味の意欲とかいろんな意味のことを含めて、先ほど塾長がおっしゃいましたけど、いわゆる自分のいわゆる自尊心プラス「よし、何かやろう」と、「何か自分たちも進んで行こう」という、そういう意欲がすごく見られた時代があったんですけれども、それがちょっと最近感じるのがすごく少ないなと思います。「何か、何とかなるよ」と、一言で言えばちょっと語弊がありますけど、何かそういうような空気がちょっと多いんじゃないかなという気がして、ちょっとその辺が寂しいなと感じました。

塾長:
中尾さん、どうですか?

中尾:
はい。僕は鹿児島に帰ってきて、多分30年近くなると思うんですけど。やっぱり東京で大学を出て1回外国にも、アメリカにも行ったりとかして帰ってきて、その時からずっと思っていることが1つあります。それは鹿児島ってこれだけポテンシャル、いわゆる潜在的な可能性があるのに、どうしてこんなに生かせないんだろうというのがずっとあります。ずっとそういう沸々とした思いを抱えながら、でもここに暮していてすごく分かってきたのは、やっぱりさっき塾長がちょっと言われた「地域の自助・自立」という、本当に自立が実はできていないのに、これで良いんだというふうにそこに安住してはしないかということです。

人間って不思議なもので、「これで満足だ」と思った瞬間に進歩しなくなるかというか、そういう理由でひょっとしてそのポテンシャルを全然生かさなくて良いと思ってしまっているんじゃないかという、こういう思いがずっとあるわけですね。だからこの辺で実はすごく1番大切な始まりの部分というのは、やっぱり「自助・自立」というのは経済的にもちゃんと自分たちで食べていける、あるいは将来的にそういう持続可能性が高いシステムを持った町になっているかどうかというのが実はすごく大事で、そういう視点で見た時に鹿児島って実はちょっとやばくないかというそういう思いをずっと抱いているんですね。そういうことをしながら、そこでまぎれもなく僕らはそういう土壌で経済活動をやっているということは、その地盤が沈下したりとか地盤が大変なことになった瞬間に、僕らの経済というのは成り立たなくなる可能性があるという意味ではすごく恐いところで、ある意味そういう自分も生きているのかなという、そういう思いがずっとあるわけですね。これがずっと鹿児島に対して思っている自分なりのある意味の不安です。いろんな良いところもあってすごく希望もあるんですけれども、ベーシックなところではそういう思いをずっと抱えています。

塾長:
お2人ともどちらかというと現状の鹿児島の在り方、また敢て言えば鹿児島に住んでいる人たちの心の在り方に関してもう少し積極的に、もう少し将来に対して攻撃的にというかアクションするべきなのにそこが足りないと、どちらかというと現状に安住しているということですね。敢てこういう言い方をさせていただければ、そういうふうにお2人から見えている人たちも、「じゃ、今の鹿児島にどんな問題があるの?」と、「これで良いじゃないの」というふうな、「何でそんなことを言われなきゃいけないの?」っていう反論が多分、もしお2人が言うような鹿児島であったら10人に7人ぐらいの人が。

渡辺:
いるかも分からないですね。

塾長:
そういう反論をされるでしょう。じゃ、仮にそういう反論をされたときに先ず渡辺さん、
じゃ、何てまたその反論に対して反論をされますか?

渡辺:
そのところではわたし自身も俗に言うベンチャーというところの仕事といいますか枠の中
でいろいろな会社を立ち上げてきたり、その時にもちろん成功だけじゃなくて失敗もあるんですけれども、そして、そういう思いをされた東京のベンチャーの方たちともお話はするんですけど。じゃ、会社を作ったり何かをしたり、会社だけじゃなくてもいいんですけど何かやろうという時に、すごく計算して最初からこれは成功するよねと、特に若い内はある意味では計算もできないんですよ。計算をしたつもりでも計算になっていないし、ただ、「よし、やってみよう」とやってやりながら1つずつ学んでいこうという、それぐらいにハードルを低くしてほっと手を出せるというのが昔のベンチャーの時代というのがあったんですけれども、今はもうちょっと高度になっていますけれども、ただそこも必要だと思うんですよ。
かなりやっぱり考えて考えてやらなきゃいけないこともありますけれども、一歩ちょっとやってみようという気持、そして、なお且つそれを守っていき、更に成長させていくというのが、やはりそのやりながら学んでいくということなんです。

だから最初からかなり例えばいろいろな経営者で大きくなった会社の方たちもいますけど、最初からものすごく智恵があって何でもできるという人は殆どいなくて、やっぱりやりながら学んでいっているというのが殆どなので、そういう意味では鹿児島の中でも俺たちこんなことをやっているんだよ、こんなことをやっているんだよとかいうそういう話がいっぱい聞こえてくることがすごく大事だと思うんですよ。そして、それで1つずつ作り上げていく、そして、成功していく失敗するそういうケースもあるでしょうけれども、先ずその踏み出すというところをすごく是非ハードルの低いところからでもやっていただきたいなあというのがあります。

塾長:
中尾さん、どうぞ。

中尾:
そうですね。今の現状のこの鹿児島市の中で駄目だ駄目だと言うけどそんなことはないじゃ
ないかと、これで良いじゃないかという人たちも多分おられると思うんですね。ただ、鹿児島、それから鹿児島県、それから日本、世界というふうに視野を拡げていったら、今やいろんな情報にしてもそうですけれども、一瞬にして情報にしても世界を駆け巡るわけです。
そんな中で、じゃ、鹿児島が本当にこのままの状態をずっと維持していけるという保証というのはどこにあるんだろうと考えた時に、僕は1番基本のラインというのはやっぱり自立することだと思うんです。自立するというのは地域が本当に経営ですよね、地域もやっぱり経営だと思うんで健全経営になっているのか、自分たちでちゃんとそこで食っていけるような鹿児島市でいるかどうなのかということです。

それがないと多分これからの時代というのは、もう皆言われていることですけど多分メガコンペクション、僕が大好きなプロレスで例えるとバトルロイヤルの世界だと思うんですね。誰が敵になるか誰と競争するのか、一気にそういうどこから敵が出てくるか分からない、そういう状態の中で鹿児島市だったら僕は逆に表現すると、今よりももっと力を付けて自助・自立ができるいろんな方法とかというのがまだ眠っている状態だと思うんですね。それをでも、じゃ、だからといって今の状態で放っておいたら、今の状態がずっと続くのかといったら、僕は絶対こんなことはないと思うんです。

今や世の中は日本に限らずデフレだし、それから各国もやっぱり経済的な意味でいえば非常にあえいでいるという状態の中で、じゃ、鹿児島市はその世界の中でどうやって自立をするのかということは本当に考えるべき時だし、そのためには今まさにチャンスというか、鹿児島はまだまだそういう宝を持っているんで、それを生かしていけるんじゃないかというそういう意味での僕は1つのテーゼというか、そういうのを今投げ掛ける時じゃないかなというふうに感じているんですね。

塾長:
わたしは聴いていまして、お2人の話と例えば何で今のままで駄目なんだという人の議論は多分噛み合わないと思うんですよ。それはなぜかというと2つの理由がありまして、お2人とも特に渡辺さんはやっぱり東京にいて事業をされていた経営者だったから、われわれが置かれている環境の前提に関して将来的にどうなるかみたいなのが既に渡辺さんにせよ中尾さんにせよ将来に対する危機感とか、環境がわれわれは厳しくなっているみたいな前提条件は常識の世界でお2人とも喋っているんです。ただ、このまま行って何で駄目なんだという人はそういう将来に対する危機感がなくて、今日の生活が明日も明後日も、来年も再来年も続くと思っている人たちとは多分議論ができないのが1つです。

2つ目が現状の鹿児島の評価が、これもお2人とも現状の鹿児島は100点満点で多分赤点レベルだとお2人とも思っているのと、現状の鹿児島は一応合格点だと思っているという人とは、永遠に議論が噛み合わないという意味でいけば、次は中尾さんから聴きたいんですけど。現状の鹿児島を敢て言えば厳しく評価したら何が駄目でどうなんだ、そして、この鹿児島がこのまま将来に行くとどういうふうに悪くなっていくか、どんな危機感を持っているのかを、ちょっと中尾さんから喋ってみて下さい。

中尾:
そうですね。僕らが知り得る限りで、例えば1番皆がネットのレベルで調べられる環境で見ても、例えばわたしが見た中では例えば鹿児島市は市自体が標榜するのは健全財政だという話なんですね。ところがやっぱり見ると、僕らが経営者の目として見ると例えば、じゃ、公債、いわゆる次の世代に先送りをしていく借金を年間で270億円ぐらいを出しながら、例えばこれが10億円余った20億円余ったという話で健全というならば、僕はこんな会社は明日潰れてもおかしくないというふうに感じているんですね。その意味ではすごく具体的な数字的に見ても、ひょっとすると鹿児島市の人たちにはいわゆる経営でいうB/S・P/Lというのがありますね。損益計算書と貸借対照表、こういう感覚というのが、特にB/Sのほうバランスシートのどれだけ今まで借金を作ってきたかとかという、そういう発想が飛んでいるんじゃないかという気がするんですね。ここが実はすごく問題で、これってまぎれもなく僕らが死んで次の世代、あるいは次の孫の世代になった時に間違いなくこの借金を払わされるという、これはどこかの国と同じなわけですが、こういうことが1つあるということです。

それともう1つやっぱりすごく大事なのは、今若い人たちが就職がないといいながら、どうしてもコストカットはすごく大事なことなんですけども、僕も絶対それは必要だと思うんだけども、1つは若い人たちがやっぱりいろんな希望を持てるような成長戦略だとか、もっと言えば若い人たちが人材として育つというそういうステージとかそういう発想が絶対に欠けていると思うんですね。それはどういうことかというと、やっぱり若い人たちが、例えば大学で地元で経済大学を出た人たちがどっかで経営をするチャンスがあっても良いじゃないかとか、そういういろんな手法はあると思うんですけども。そういうことであったりとかという、いわゆる若い人たちが本当に鹿児島にいて希望を持ってここでやれるかもしれないとか、あるいはチャレンジポストだとかがあれば、もっと人材が育っていくのになあというふうに思います。そういう現実的ないわゆる収支面というかそういう意味でのバランスの不安と、もう1つは人を育てていないというそういう意味での2つの大きい理由から、僕は非常に不安を感じています。

塾長:
例えば今鹿児島市の市政、特に財政面の件に関しての将来的なやっぱり危機感の話がありましたけど。例えば中尾さんは経営者だからB/S・P/Lっていう言葉を使われましたけど、殆どの市民はB/S・P/Lという言葉さえも分からないし、そういう意味において、じゃ、そういう鹿児島市の市政、例えば財政の問題点みたいな話をやはり一般の市民がやっぱり知る、若しくはそういうことを説明するみたいな、そして、その中で鹿児島の将来に関して個々人でいろんな意見を持つみたいな、そういう風土みたいなのが。

中尾:
それがまさに自立ですよね、自助・自立というのはそういうことです。

塾長:
うん、鹿児島にはないのかなと。逆に、じゃ、皆さん有権者48万人ぐらいの鹿児島市民が全部簿記学校に行って財務諸表を読めるようにしなさいというのもちょっとあまりな話の中で。じゃ、そういう市民全体が自分たちが置かれている鹿児島の状況、例えば市政に関しても正しい市民目線で評価できるようにするためには、わたくしは逆に言えばやっぱりリーダーシップを執ったり、やっぱりそれを解説するような人たちのそういう人材というのが先ずはわたしは重要じゃないのかなというふうに思いまして。

この政経マネジメント塾、すなわち政治や経済の中でマネジメントに携る、若しくはそういうことをちゃんと勉強して積極的にそういうものに関わっていきたい人たちに、自分で自分を磨く機会を与えていきたいというのがこの政経マネジメント塾の目的です。そういう意味じゃ、わたしも渡辺さんや中尾さんみたいに鹿児島の現状に関しては決して満足いく状況ではなく、そして、将来的な予見も含めば極めて強い危機感を持たなきゃいけないと思っている人間としては、やはり市民全体が自助・自立する意識を高めるとともに、そういった正しい判断をするためのリーダーたちをどうやって育てていくのかというのが、やっぱり1つ重要なことではないのかなあと思います。

そういう意味じゃ、渡辺さんは東京にいらっしゃったら現状の鹿児島の東京とのギャップ、そして、東京を見ていると日本がどうなっていくのか、特に悪いほうにどう沈没していくのかというのを、嫌と言う程お分かりになっている中でのさっき鹿児島の危機感ですから、そういう意味でちょっと先ほどの質問に関してちょっとお答え下さい。

渡辺:
そうですね。先ほど中尾さんのおっしゃっていた分のところの分で言うと、1つは優しい情報開示ということです。本当に誰でも分かる優しい表現できちんと市民に伝える必要性は、先ずあると思います。そうしないと市民は先ず判断ができないですものね。そうしたらどうしたら良いかということを考えることになります。だからやっぱり情報をきちんと出してあげるということが1番大事なことだと思います。それで今のご質問の分のところで言えば、わたし自身がもうずっと50何年生きてきまして、それでやはり東京におりますのでやはり国の情報のほうが多いことは多いんですけれども。その中で過去を振り返りますと、皆さんも日々忙しいとは思うんですけれども、ちょっと立ち止まられてちょっと過去を振り返ってみますとオイルショックがありました。大きな経済的な波で言いますと、次にバブルの崩壊がありました。ITバブルの崩壊というのも間にありますけど、最近で言えばリーマンショックという経済危機がありました。そして、バブルの時もそうなんですけれども、その後もそうなんですけれども、意外と一夜にして経済危機が来ているんです。昨日までこうだったよねというのが次の日になったらあっという間に株価も大暴落、経済的な土地も売買が急に進まなくなったとか、いろんなことが100年続いたことが一夜にして変わるというのが、やはり現実的には何回も起きてきたわけなんです。
先ずだから危機意識というのをあまりあおる気はないんですけれども、先ずはそういうことがあるんだということはちょっと振り返ってみると、お分かりになれると思うんです。

そして、もう1つ大事なことといいますか、その時に時代がちょっと違いまして、例えばオイルショックの頃の日本のちょっと元気な、もうちょっとこれから昇っていくよという精神的にも経済的にもそういう勢いのある時のショックな状態と、またバブルというのはまた別な意味でガッと拡がっていきましたけれども、ただ国力といいますかいろんな意味で言うと、まだ体力があった時期なんです。リーマンショックというのはこれはまた別な意味の金融的なショックなので、これはまた普通のところとはちょっとショックの割合が違うんですけれども。ただ、そのショックにしてもまだ国力じゃないですけども、精神力を含めて皆の力や国民の力というのがまだちょっと感じられる時だったんです。ところがこれから起きるのを考えると、先ず皆さんお分かりだと思いますけど先ず円高の問題による空洞化、これで実際にリストラが始まっていますし、かなりの大企業ですらかなりリストラされています。そして、その方たちが消費活動を控えるということは、その影響というのが必ず起きてくるわけです。次に外交問題が現在かなり問題になっていますけれども、これによるいろいろな経済的な障害が現実的に起きていると思います。

そして、3番目に近い将来に起こるであろう消費税の増税、これでこの1つでもものすごく大変な問題なのを、今の国の中で、じゃ、果たしてどこに答えを出しているかというと、ずっと答えはどれも出ていないんですよ。それでそれじゃ方向性が示されているかというと、それも僕は経済的な意味では出されていないと思います。となると1つでも大きな問題が3つもあるのに、そして、今の精神的な部分でいってもそういうちょっと精神的に弱っている国民が多い状況の中で、このまま進むことは先ずあり得ないと思うんです。そうするとそのことに対応して、じゃ、鹿児島市が何ができるかというと、その国の大きな問題に関しては鹿児島市はできることはないんですよ。例えばこれは地方のどの都市も一緒だと思うんですが、その時にできることは地方の都市というのは、これは鹿児島に限らずなんですが、自分たちで生きていく力を多少の荒波が今後来たとしてもそれに立ち向かっていく力を自分たちで作っていかなきゃいけないんです。もう今まで当てにできていた国とかいろんなそういう仕組が崩壊しつつある中では、自分たちの力を合わせ自分たちでそこで頑張って生き抜いていこうよと、そういうものを今からやらないと、いざその危機が来た時にあたふたしても多分手遅れな方策しか執れないと思います。

今わたしの説明が全部上手くいっているか分かりませんけど、そういうことを少しずつ気付いていきながら、今できることはこうだよねというのを、もうやるべきタイミングじゃないかなあというのが、できるだけ分かっていただきたいところです。そういう意味では鹿児島の点数はそういうのを含めて言いますと、先ほど中尾さんもおっしゃっていましたけど、これだけのポテンシャルのある町でやはりそれを何パーセント生かしているかはちょっとわたしは分かりませんけれどもやっぱり生かし切っていないと思います。人・物・お金、いわゆる経済的なもので言えばそういう部分ですけれども、もちろんまた人というのが1番重要なんですが、そこを生かし切っていないという意味で言うと、本来は合格点をあげたいところですけど、ちょっと赤点ぐらいかなという感じに思います。

塾長:
1つここでそういう鹿児島の人たちに客観的な1つの事実としてわたくしが申し上げたいのは、中央の政府がお金を全部1回吸い上げて、そして、いろんな役所経由で分配して、それを基に地方が自分で稼いだり自分で富の創造をしなくても何とかやっていっていて町も作ったりそういう施設も作ったりしてきたものが、国の分配がなくなってきているにも拘わらず相変わらずそういう中央からの分配構造の中で、何気なくお金は回ってくるものだという錯覚をやはり大概の鹿児島の人は思っているし。中尾さんが指摘したように実際国から来なくなった部分が、鹿児島市という自治体は今まで借金を更に増やして今までどおりに事業をしているけど、実際は税収が減ったり国から来なくなった部分は、実際は自治体の借金として残ってしまっているということだと思うんですよね。

<後編>

塾長:
わたくしは経営者として常にある経営判断をしながらしているわけですね。経営者の1番の重要なことはリスクマネジメント、そして、予見性を持ってどう判断していく時に、変わるリスクと変わらないリスクが実はあるんですけど。やっぱり今の鹿児島は変わることがリスクであって、変わらないとそこにはリスクが存在しないって思う人たちのほうが多いんですね。そして、変わるリスクを取るというのは現状が変わるわけですから、今自分が一定のある満足した状況にすれば、ひょっとしたらそれよりも悪くなるかもしれないというリスクを取りにいくと、なかなか勇気が出ないということですよね。

中尾:
それはよく分かりますね。

塾長:
そういう意味において、前提条件として鹿児島が変わらなければいけないんだといった時に、やっぱりどうやったら勇気が出るのかということです。

中尾:
いわゆる「デフォルト」という言葉がありますけど、いわゆる債務が不履行になってしまうという、これは地域にも簡単に起きるんだというのを何回か見たような気がするんですね。僕は北海道の夕張市も実は母を連れて行ったことがあって、やっぱり見ると簡単にこんなことが起き得るんだというのをすごくリアルに感じた覚えがあるんですね。あと例えば僕が生まれて初めて行った外国がギリシャだったんですけども、あんなに放っておいても、よく業界用語で「インバウンド」ですね、今の地域外から人が来てお金を落としてくれるあれだけの歴史的な財産を持ちながら何であんなになるのって、どこまで阿呆なのみたいな感じのそういうものを見ていると、やっぱり地域のデフォルトというのは簡単に起きるんだということを、すごく何か身を持ってというか自分の目で見た気がするんですね。その意味で言えば鹿児島だって、だって普通の経営状態で言えば株式会社鹿児島市というもし自分が経営をしていたならば、これはあっという間に債務不履行になってしまう可能性があるというのは、すごく僕は感じてしまうんですね。だからその意味でそういうことが簡単に起き得るんだという、将来のもし自分の立ち位置を変えなかった場合のリスクというのは、すごくそういうふうに感じるんですね。

じゃ、翻って鹿児島市の現状を見た時に致命的な状態かというと、僕は違うと思うんですね。というのはやっぱり自主財源比率でさっき県のお話を3割だと言われましたけども、鹿児島市はまだ40%を超えて40~45%あるので、まだ行けるかなと思います。あと見回した時にいろんな鹿児島の地域資源とかを見た時に、これでインバウンドを取ったりとかする発想さえ忘れなければ、まだ行けるぞという思いがすごくあるんですね。だから僕は今立ち位置を変わるべきだというふうに、将来のリスクも見ながら今やらなきゃいつやるんだという、すごくそういう気がしているということですね。

塾長:
渡辺さん、どうですか?

渡辺:
はい。いや、もう中尾さんのおっしゃるとおりで、わたしも非常に近い部分があります。あとはやはり僕の中では、今の時代・過去の時代・未来と考えていく、時間軸で考えていく、その環境を見ていくと、例えばこれが20~30年前だったら変わらないリスクを取るのも1つの答えの方法だとは思うんです。そういう時代でしたし、そういう流れがやはり環境的にむこう5年10年は大丈夫だよねとかいう、そういう空気じゃないですけど読みができたと思うんですが。今の時代を考えれば、今の時代はもうそのことが先ず見えない時代です。本当にあとギリギリ半年は見えるかなと思います。じゃ、2年後3年後がじゃ果たしてどんな時代になっているかというのが、全く予見できない部分のところです。逆に言うと、予見すると悪い方向しか見えないわけです。そこが1番今の時代に則して考えるタイミングで、それを考えると変わるリスクというのは逆に言うともうリスクではなくて変わらざるを得ない、良い変わり方をするにはどうしたら良いかというのを、今一生懸命に考えなければいけない時だと思うんです。

そして、例えば鹿児島市という単位であっても、鹿児島市は他のところとは違っていても、わたしたちはわたしたちの力でちょっと考えていこうということです。そうしたら道が必ずここにあるよねと、じゃ、これぐらいのリスクでもその道を進もうと、そういう道を全部が成功するとは思いませんけど、皆の力を合わせてやっていくことによってリスクがどんどん小さくなっていって、良い方向に向かうんじゃないかなと思います。

塾長:
変わらないリスクというのは、ある日突然もう一方的に降ってくるリスクですね。

渡辺:
そうです、外圧的に来るわけですね。

塾長:
変わるリスクというのは、おっしゃるとおりマネージできるリスクですね。やり方によってはリスクをゼロにすることだってできるという話です。但し、中尾さんが言ったように、こちら側が変わろうといった時にどれぐらいの体力、どれぐらいの力を持っているかで、今の例えば鹿児島市が置かれている状況を好転させなければいけないといった時には、これがこれ以上力がなくなっていったら変わるリスクを取れないというか、だから変わるということに関しては積極的にマネージしていったほうが本当はリスクが低いんですよということを、お2人は言っているような感じがしましたね。

われわれはどちらかというと前の世代、その前の世代に残された財産を今食い潰しているだけで、次の世代に何か残すための努力を本当にしているのかなということに関して、わたしはやっぱりわたしなりの反省とわたしなりの努力をしていかないといけないというふうに思っていまして、繰り返しになりますけど人材育成は急務だと思っています。じゃ、われわれの世代が今後次の世代その次の世代に何を残したら良いのか、もし自分が然るべき立場で何かをするんだったら何をしたいみたいな話をちょっとお願い致します。

渡辺:
やはりもう対応力のある人材を育てていくというのが、これからの時代には1番大事だと思います。やはりもうそこに尽きて、そこに対するエネルギーを注いで良い人材、もっと言うと個性的な人材でも良いと思いますし、様々な人材を育てていくことで次の世代にそれが財産として残っていけば良いと思います。やっぱり他のものと形あるものとかいろんなものはやはり崩れていきますし、そこが僕は1番重要だというのは非常に同じ意見なんですが。鹿児島を離れている方たちも鹿児島の兄弟は確かにありますし、鹿児島に対してはかなり深いものを持っています。

そして、特にちょっと1回一線を退きつつある、年代で言うとちょっと語弊ありますけど、60歳前後ぐらいからちょっとそちらのほうの仕事がひと段落したと、若しくは一通りわたしもやってきたという方たちはこれから鹿児島にいろんなことを還元していきたい、鹿児島で何か参加してやっていきたいという気持を持っていらっしゃる方はかなりいます。わたしが知っているだけでも、本当に良いよと。俺は行って自分が勉強してきたことを地元の人に教えたいと。逆に言うとその環境を作りたいと、人材教育もしたいと、そして、商売だったら商売のルートも僕は作ってきてあげると。なお且つお金も出していいよと、それぐらいの気持を持っていらっしゃる方が、わたし鹿児島出身者だとかなり知り合いがいます。問題点は受け皿側の、鹿児島で言うと役所になるんでしょうが。そこのところがきちんと地元の会社と、外にいらっしゃる方という言い方はあれですけど、県外にいらっしゃる鹿児島県人の方たちとの、鹿児島県人というのは幸いにして全世界に殆どいらっしゃるような感じで、本当にいろんな国で鹿児島県人会というのは存在しているんです。だからそういう方たちとのパイプ役、やっぱりそのどちらもが話を進めていきやすい環境というのを、やはりここは行政が1つ踏み込んで場を作ってあげて、なお且つそれを育てていくための方法を行政の方も一緒に参加しながら作戦を作っていくという、その前向きな部分のところに対して前向きに答えるという、そっちのほうを作っていくのが今必要じゃないかなあと思います。それがあるとものすごく効果が、そちらの方たちも動いて下さると思います。

塾長:
中尾さんは鹿児島にいてお1人じゃもちろん何もできないですけど、同志を集めて将来のために次の世代のために何を残していくべきだと思いますか?

中尾:
そうですね。やっぱり今出ているとおり人材を育てる、じゃ、具体的な育て方というのは意外といろいろあると思うんですね。やっぱり1つ大事なのは地元の学校、特に大学ですね。これがどれぐらい面白い大学、面白いというと語弊がありますけど、特色ある教育ができるのかということです。でも実際それってそんなに難しいことでは実はなくて、例えばいろんな鹿児島にある施設だとかのチャレンジポストみたいなところで、経済学部の経営を勉強した人をそこでチャレンジポストとして経営をさせてみるとか、こういうのをアメリカだとかヨーロッパでも今普通にやっていますし。

こういうことだとか、それからやっぱり人材が人を呼ぶわけで、僕は人が人を呼ぶと思っているんですね。だから観光施設もいろんな場所にどんなに辺ぴなところでもそこに面白い人がいると皆尋ねていくと、それはとりもなおさずやっぱりリピーターがどれだけ大事かということと表裏で、リピーターを呼ぶためにはやっぱりそこに行くと会える人がいるとかという、それは観光だけに限らずそういうものだと思うんですね。だからそういう人たちをどれだけ鹿児島の中に配置ができるのか、どれだけそういう面白い人が育ってくるような環境とかシステムとか、あるいはポストを作れるのかということが1つあると思うんですね。

やっぱりあとは安心して暮せる、安心というのは例えば今少子化が非常に問題になっていますけど、やっぱり人口というのはすごく大事な1つの指標だと思うんですね。そういう意味では、鹿児島に来て住んだらやっぱり安心して子育てができるよというようなことです。そのためにはすごく大事なことは、でも今までのように何でもこれやってあげるあれやってあげるという、多分そういうガバナンスでは駄目だと思うんですね。その中で何ができないのか。何ができなくなる代わりに、ここにはでも絶対に重点を置いてやるよとかという、多分そういう政策が間違いなく必要だと思うんですね。だから皆さんは経営者なんで当たり前の話ですけども、経営を良くするためには売上を上げるということと粗利をどうやって取るかということと経費をどうやって抑えるかと、この3つしかないわけですね。

多分地域経営というのも本当にそういう時代に入ってきて、それは何のためかというと1番最初の話題である自助・自立をして、どんな時代が来ようともずっと持続していく地域を作るということの分かりやすい手段だと思うんですね。だからその意味では、そういうことをベースにしながら最初に申し上げたとおりに人材が育っていくようなポスト・システム、そういうものを作ることがとりもなおさず成長していく鹿児島の1番良い近道だというふうに思うんですね。

塾長:
いろいろお2人のおっしゃっていることを聴いていますと、1つは人材育成という意味じゃ先ほどから申し上げているように、リーダーとなっていくようなリーダーシップを執っていく人たちの人材育成ですけど。もう1つはそのリーダーを育成した後にやはり市民全員が、地域全員のやっぱり意識レベルがどのレベルかということで、やっぱりいくらリーダーが頑張っても100の結果を得られるか50の結果を得られるか、そして、そのリーダー自体が多くの人の支持を得られるかだと思います。

特に民主主義という社会は最終的には多数決という、例えば市長1つにしても選挙で選ぶ世界ですよね。そういう意味じゃ、やはりどうやってその地域の人々の精神的な意識的なレベルで、次元の高いというと何が次元が高いかという議論はありますけど、そういうところも1つ重要になった時にひょっとしたら人材育成と同時にわたしどもが仮に東京から見て鹿児島の問題点を、若しくは経歴と経営者という立場で鹿児島の問題点を見てそれを指摘されているお2人としては、やっぱりそういう鹿児島の地域のレベルをどう上げるかみたいなものは、そして、それ自体がやっぱり最終的には地域の強さになっていくんじゃないかと、わたしは思うわけでして。

先ず渡辺さんは西郷隆盛に関する本を最近愛読されているということですけど、やはり1つは日本人のモラルみたいなものが低下している。それが国力の低下にもなっているという意味では、じゃ、鹿児島の強さは鹿児島の市民のモラルがどの日本の他の地域よりも高いみたいな意味でいくと、西郷さん的な1つの西郷さんが重んじた価値感みたいなものは、ひょっとしたら鹿児島に残すべきものかもしれないんじゃないかと思った時思えるわけですけど、そういう視点から何かご意見があれば。

渡辺:
はい、そうですね。正直なところまだ西郷隆盛の足元にも及ばないんではありますけど、おっしゃっている言葉というのを最近本当によく読んでいまして。歴史的な背景うんぬん以上に本人が何を言いたかったのかなあということを非常に読み解こうと努力はしているんですが、ただまだそこまで至っていませんで。わたしが1つ読み解けたところはとにかくリーダーたるものは私利私欲を捨て尽くしなさいと、そのことが1番重要なことであって、やはりそういうリーダーがやっぱりリーダーなんだということです。やはり自分の心をそうやって抑えること、残るのはそのリーダーにとってはやはり誇りという部分だと思うんですけれども、僕はこのことはどんな職業のリーダーでも同じだと思うんです。

そして、先ほど言った若い人たちが元気になるのも、自分の上司もそうですが先生もそうだと思うんですが。その方たちのそういう姿勢を見ると、俺ってこんな人になりたいなとか、わたしもこんなふうになりたいなということが、目の前のそういうサンプルという言い方はあれですけど、見本があるとやはりそういう気持が出てきて「よし、わたしもそういう気持で頑張っていこう」と、やはりそういう考え方の人が鹿児島というのは幸いにして西郷隆盛さんという文化があるので、その人の思想というか考え方がちょっと行き渡ることによってそういう方たちが少し変化し、その下に学んでいる人たちがもっと変化していけるかもしれません。だからやはりそういうようなことをできたらなと、そしたら全体がもっと元気になるんじゃないかなという気もします。

塾長:
中尾さんはブログとかされていて、鹿児島は確かインターネットの普及率は後から2番目ぐらいのIT後進県なわけですね。そういう意味では若者もiPad・iPhoneを持っている人も少ないし経済的な理由もあるかもしれないですけど、そういう意味では先ほど言った決してそういうものを頻繁に使う人が次元が高いとは言わないんですけど、そういう意味でもさっき言ったように例えばジャスミン革命みたいなものをそういうフェイスブックから始まっている時代の中で、やはり鹿児島が、こういう言い方は語弊がありますけど、鹿児島弁の「おせ」の人たちはやっぱり変わる勇気が持てないのもしょうがない時に、やはり鹿児島が変わるためにはその若い人たちがどうするかといった時に、若い人たちがそこでフェイスブックだとかそういうもので情報を交換しながら、ある国においては政権をひっくり返すみたいなエネルギーになっているという意味じゃ、鹿児島はちょっと悲観的な感じがするんですけど。
それに関してどういうふうにしていったら良いのか、何か意見がありますか。

渡辺:
僕は先ず最初に少し認識が違って、鹿児島の若者はやっぱりSNSは実はすごいと思うんですよ。それは僕も本当に僕らの世代からちょっと上が多分問題なのであって、SNS。

渡辺:
両極端なんですね。

中尾:
そう、そう、そうなんですよ。まさにそのとおりで、どっかで切れているんですよ。だけど若い人たちはやっぱりすごくSNSを上手く使っている人たちは多いし、でも残念なのはそのSNSでどういう情報を流していくかということにおいては、今われわれが話しているような話題はまず飛び交わないんで、そこら辺を少し変えていったら面白いのかなと思うんですけど。たまたま今渡辺さんが西郷隆盛が好きだという話で僕は実は大久保利通が大好きで、彼が言っていた「為政清明」という彼のスローガンというかキャッチが実はすごく今キーワードだと思うんですね。実は全く同じことを言っていて、政治をやる者はピュアな心でやらなければいけないというすごくシンプルなことです。僕はやっぱり彼は鹿児島ではどうしても嫌われる風土があるわけですね。大久保さんというのはやっぱり冷たかったとか、いわゆる友人であった西郷を国の立場で切ったと、殺したということがあるんですけど。ただ、やっぱり彼の精神というのは今1番必要で、例えば僕らがいろんな市議会議員選挙だとかありますけども、こういう時に極端な話が今度うちの傍から議員が出ないから俺は投票に行かないよとか、こういうことで行くとまずいと思うんですね。

だからそういう意味ではやっぱり今岩崎さんが言われたとおり、市民のレベルってすごくある意味大上段で申し訳ない言葉なんですけれども、自治意識とかというのが絶対に必要だと思うんですね。その意味ではやっぱりわれわれは地域の中でそういう鹿児島のフィロソフィーというか鹿児島の哲学や鹿児島のポリシーみたいなものを皆が勇気を持って、こんな時代だからこそ持ち続けるんだみたいなそういう空気を持てるような、多分それの1番発信力があるのは多分トップリーダーだと思うんですね。いろんな立場のリーダーが、例えば首長であったりとかいろいろあると思うんですけれども。そういう人たちがそういうマインドを持って発信ができるかどうか、その時にそういうSNSだとかいろんなものがどれだけ上手く使えて上手い表現で若い人たちがプツンとアクセスを切らないような分かりやすい表現でそれを発信できるかというのが多分ポイントのような気がするんですね。

その意味では僕は決して諦めてはいなくて、確かにインターネットの普及率はすごく低いんですけれども、ただアナログじゃ悪いということはないんで、それは追々そういうことの普及率を高めて利用ができるようになっていけばなあと思います。特にどっちかというと今の表現で言えば「おせ」の人たちが問題で、「おせ」の人たちがどれだけそういうことを使いこなせるかということだと思うんですね。

塾長:
じゃ、最後に渡辺さんのほうでせっかくの機会ですから東京に住む、そして、鹿児島に帰ってきて鹿児島のために貢献したいと思っている、そして、渡辺さんがおっしゃったようにそういう人は実は多いんだよと、そして、そういう人脈というかネットワークをわたしは持っているんだよという方に、じゃ、鹿児島に住んでいるわたしたちからすれば、どうやって今ずっとお話ししてきた鹿児島のリーダーの育成、そして、鹿児島のいわゆる民主主義の言うところの自助・自立を作っていく1人1人の市民をどうやってしたら良いかみたいな、レベルアップのために鹿児島側がどういうことをしたら良いのかみたいな話をちょっと最後にお聴きして、取りあえずこの討論のほうを終えたいと思います。

渡辺:
そうですね。確かにそういった方たちのやっぱり学んできた経験とかいろんなものを今後の鹿児島の中に本当に生かしていきたいとするには、やはり1番大事なのはやっぱり行政だと思うんです。なぜかというと、地元の会社とその方たちをいろんな意味でマッチングさせていく作業というのは意外と分野が広いので、すごくそれをちゃんと形作っていくためにはやはり行政の仕事というのは1番それが大事です。

そして、なお且つ行政でそれに携る人も、やっぱりそこで勉強をするんですね。勉強してそれぞれの仕事の仕組、今後のいわゆるアジアに対する鹿児島市のポジションとか、会社のどういうところがどういう仕事が派生していくか、やはりビジネスというものを役所の方も学ぶべきだと思います。そして、学ぶことはこれは決して苦痛じゃなくて、やっていくと楽しいんですよね。だから役所の方たちも前向きという言い方はあれですけれども、一歩先に進んだ勉強をすることによって自分の世界も拡がりますしその方たちも生きてくる、地元の会社の人も感謝してくれます。「良かった。助けてくれて、俺の会社はこんなことができるようになったよ」と、そういう関係を鹿児島市の中で作っていくことによって鹿児島が経済的に強くなり、多少なことが起きてもそれに耐えていけるチームが作れます。鹿児島市としてこの60万人という都市ですが、60万人1つを頑張って生きていける町を作っていけるという形ができるのは、やっぱり具体的にはそういった作業を地道に積み重ねていくことも大事だと思います。

塾長:
いろいろお2人とも鹿児島を思って鹿児島がどうしたら良くなるかという日頃実にいろんなことを考えておられることを、今日はいろいろ言っていただいてありがとうございました。今日はこれでおしまいにします。どうも。

渡辺:
ありがとうございました。